不定期発行
11月28日号

原作 ルイ・ロペス
作画&管理 店主


さて、お次のお題であるが、アメリカの代表タバコ「キャプテンブラック」である。
まあ、簡単に言えばキャプテンベスターとの船長つながりになる訳だが、安直な事この上ない動機である。

しかしここ最近のヨーロッパタバコの台頭に押されまくり、影の薄くなったアメリカンタバコ、こんな折でもなければ、紹介する機会も無いだろう。
前置きはこの位にするとして、アメリカタイプのブラックキャベンディッシュ、代表と言えば、キャプテンブラックに、ブラックアンドマイルド辺りが馴染みが深い。
実はこの二つのタバコ、ある共通点が存在する。
それは、パウチがシーリング処理されていない所である。
もっともキャプテンブラックはパウチの上をさらにビニールでラッピングして、タバコの乾燥を押さえる様にしているが、そんな状態でも甘い香がガンガン洩れている。
その甘い独特の香は強烈で、開封した形で部屋に放置しておくと、周囲2メートル位は甘い香で満たされる。
まあ、これは大げさだとしても、当たらず言えど遠からずである。
結果として、これだけ強烈な着香を施してあるのでシーリングの必要がないのだろう等と考える。
それともドラッグスウトアタバコ(安価で気軽に煙にするタバコ)の位置づけなのだろうか。

ただし以前、この形態での流通は日本だけだとの話を聞いた事がある。
確か、アメリカ辺りでは、缶での販売がされているとの話しだったが、真偽のほどは定かではない。

そんな周辺事情は良いとして、キャプテンブラックの特徴とは何かを考えてみた。
それは一も二もなく、圧倒的な甘い香である。
以前からブラック系の甘いタバコを表現する時、「黒砂糖様」と書いてきたが、これがまさにそのタバコである。
やたらゴテゴテと甘い味付けをする。
この強めの味付けは、まさにアメリカンだと言える。
しかしそれだけでは、表現し足りない一味がある。
その特徴は日本人にはやや馴染みの薄く、ヨーロッパタイプとも趣を異にする、人工的にも感じる香り・味わいだ。
しかし半面、甘さに厚みと強さを演出している。
これを探る為に、今一度パイプの書籍をを開き、キャベンディッシュについておさらいして見た。
そこで目に止まったのが、ケーシング材料の「メープルシロップ」である。
まさに、日本人に馴染みがが薄く、強い甘味のアメリカンなもの。
確証は無いが、キャベンディッシュの処理の時「メープルシロップ」を多用する、これが甘いアメリカタバコの伝統的な特徴ではないか、そんな思いに至った。

キャプテンブラック

製造国 アメリカ
タイプ アメリカ
価格 900円
内容量 50g
形態  パウチ
厳選されたブラックたばこ葉をブレンドバニラ風味で甘い芳醇な香りと円やかな口当たりでパイプのビギナ−向きとの解説を目にした事ある。
袋の記載は、リッチ・ブラックキャベンディッシュと、メロウ・バーレーとなっていて、バージニアの記載が見当たらない。
もっとも、リボンカットのタバコもチラホラ見えるので、全く入っていない訳でも無さそうではあるが。

まあ、それはさておき、このキャプテンブラック、ブレンドから見た場合、まさにアメリカタイプと言えそうある。
見た目もかなり黒く、ブラックキャベンディッシュがメインになっている事がわかる。
しかもそのブラックキャベンディッシュ、指で揉むと結構粉っぽくなる。
かなり強い処理(トースティング?)が施されている様だ。
この様に葉組を確認した段階で、前述の解説になるほどと感心した。
それは、バーレーの配合が思った以上に少ない事だ。
ブラックキャベンデッィシュの量は多分半分以上(6割位か?)であろうか。
しかもこのブラックキャベンディッシュ、かなりの強い加工処理の為、タバコの強さ・煙の粗さが押えられ、まろやかになっている。
そこに「思ったよりも少な目」のメローバーレーだ。
メロー、おそらく刺激の穏やかなバーレーと言う事だろう。
強烈な甘味の割には、軽めに仕上ったタバコである。
しかも、柑橘系に見られる尖った甘味ではなく、あくまでも厚みを感じさせる甘味である。
吸い込んでも揺るがない厚みのある甘味と、軽めながらチャンとしたバーレーの刺激。
肺喫煙にとても向いているタバコに感じる。

古くからファンが多く、同社のシガレットタイプも人気の銘柄だ。
一度試してみてほしいが、タバコそのものの味わいを好む人には勧められないタバコでもある。
ただし、粗悪なタバコを使っているかと言うと、そうでも無いと感じる。
キャプテンブラックの製造元、レーン社は経済力のある会社だと言う話なので、質の良い原料を仕入れる力は持っていると思う。
また、今回ジックリテイスティングした感想としては、タバコ葉自体の質は良いのでは?とも感じたのは事実である。

キャプテンブラック
ゴールド

製造国 アメリカ
タイプ アメリカ
価格 900円
内容量 50g
形態  パウチ
数種類のゴ−ルデン・キャベンデシュ葉を厳選してブレンドし、チョコレ−トバニラフレ−バ−で仕上げ風味豊かな香りと味。
こんな解説を目にした事がある。

ゴールドキャベンディッシュと言うだけあり、タバコの色は、やや薄めの茶色に、こげ茶位の色のタバコが混じる。
味わい、香りともブラックとは違い、スィートキャベンディッシュ系の甘い香りだが、バニラ系ともやや種を異にする。
ただし、甘い香りの中に感じられるタバコ自体の香りはブラックと同じで、キャプテンブラック特有の香りがある。
良く言えば個性的でアメリカンな香だが、悪く表現すれば、ややケミカルな(薬臭い?)とも感じる。
香についてはこの辺りで止めておくとして、肝心なタバコの味わいであるが、キャプテンブラックが、その強いキャラクターの割には、軽目でスムースであるのに対し、このゴールドは、タバコとしての重さを感じる。
このタバコ感の強さであるが、以下の様に考えた。

第一がブレンドに起因するもの。
そして第二が、キャベンディッシュ処理に関するものである。

長年着香物を吸って来たのであるが、この手のタバコはキャベンディシュが味わいの大きな部分を担っている。
このキャベンディッシュであるが、どうやらゴールデンキャベンディッシュはヴァージニア。
特に、ライトやゴールドなどのヴァージニアと相性が良いらしく、ブラックキャベンディッシュ使用のブレンドに比べ、ヴァージニアの配合率が高い場合が多いと感じる。
従って、ブラックキャベンディッシュのブレンドに比べ重目で、ネットリ系の口当りの物が多い。

さらにキャベンディシュの処理である。
キャベンディッシュ、簡単に表現すると、加香されたプレス処理である。
その工程は、「スチーミング、ケーシング、トースティング、加香、プレッシング、熟成」大体この様である。
これを見る限り、キャベンディッシュとは、楽しみ易さと、味わいのバリエーションを出し易くした、フレイクタバコである。
その視点でキャベンディッシュを見て行くと、ブラックキャベンディッシュはフル・ヴァージニア、またはブラック・ヴァージニアにあたるタバコではなかろうか。
だとすれば、ゴールデンキャベンディッシュはライト又はゴールデンの、ヴァージニアに対応するとタバコだと考えられる。

従ってゴールデンキャベンディッシュは、タバコのキャラクターを結構残しているが、ブラックキャベンディッシュともなると、タバコが黒変する程の加熱、熟成処理が掛けられている。
さらに二重醗酵させている物も結構見受けられる。
その結果、加熱による糖度が増す変わりに、タバコ自体がマイルドになる。

香や甘さ、マイルドや軽さを求めるならブラックキャベンディッシュ。
タバコの強さ、味わいも楽しみたいならゴールデンキャベンディッシュと言った区別もできるかもしれない。

まあ、このキャプテンブラック、ケーシングにメープルシロップ、加香にチョコレートやバニラを、これでもかと言った具合に使用している様なので、そこまでこだわる事も無いかと思うが、ブラックキャベンディッシュとゴールデンキャベンディッシュのタバコを、系統分けして比較してみた次第である。

テイスティングノートでは、皆様のテイティング感想も掲載させて頂く予定です。
一銘柄ごとUP後に、当方までMailにてお寄せ下さい。
なお、不適当と思われるものは掲載をお断りする場合も御座いますので、予めご了承下さい。
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