不定期発行
07月18日号

原作 ルイ・ロペス
作画&管理 店主


スキッフミクスチャー
製造国 イングランド
湖水地方
形状 角缶
内容量 50g
価格 1,650円
さて歴史の古いブレンドの第三弾に持ってきたのが、このスキッフミクスチャーであるが、ラタキアの登場が1870年であるので、決して歴史の古いブレンドとは言えない。
しかし、これをあえてここに持ってきたのには訳がある。
それは、カタログの文句「イギリスの古典的レシピのオリエンタルブレンド」、ここに興味を示したからである。

さて、早速テイスティングに入る訳だが、サミュエル・ガーウィス「ラタキアブレンドの、代表選手コモンウェルズ」に比べると、タバコの色調は全体的に明るい印象である。
ターキッシュ(オリエント)配合のなせる技か。
香にしても、オリエント特有の「若干土臭い膨らみ」があり、その分ラタキアはやや控え目である。
まあ控え目と書いたがそれはコモンウェルズと比較しての話であり、ラタキア・ブレンドとしては十分にスタンダードである。
しかしタバコ葉の刻に関しては、他社の銘柄と比べるとやや太めに感じる。
以前、イギリスタバコメーカー3社のラタキア・ブレンド比較を行った。
そこで行った3社のキザミ比較であるが、ジャーマインが標準サイズ(1.6mm程度)、ガウィス・ホガースがシャグ並の細さなのに比べ、スキッフミクスチャーは2mm近くに感じる。
かなり本格的と言うか、存在感のあるキザミである、大振りのパイプでゆったりふかすのに適していそうだ。
さてタバコの概略はこの程度として、その味わいの傾向であるが、まさにオリエンタルブレンドの典型、「ラタキアとオリエントが一体となり、膨らみのある香が演出されている」である。
そして、それがサミュエル・ガーウィス特有の、ヘイタイプのベースタバコ(ヴァージニア)と良く馴染んでいる。
しかしそこはサミュエル・ガース、味わいが馴染んでいると言っても、ベッタリと一塊になっている訳ではない。
ヘイタイプ・ヴァージニアの特徴である、線の細い甘味はシッカリと立ってくる。

さて話しは脱線するが、ここでヘイタイプのヴァージニアについて考察してみよう。
これはあくまでも私見であるが、英国のヴァージニアであるが、その産地は基本的にアフリカである。
そしてこのアフリカタバコであるが、糖度の高さはヴァージニアの中ではナンバー1との事である。
しかし、私がザイールを吸った限りでは、ヘイタイプ独特の干し草香はそれなりに感じられるものではあったが、味わいとしてはメチャメチャ甘いと言う印象は無く、やや単調でサッパリ系と感じるものだった。
「糖度の高さナンバー1のタバコ」は、いったい何処に行ってしまったのであろうか?
さらに言えば、同じアフリカ・タバコ「ジンバブエ」を使った、「ラールセンのフレークカット」にも言えるが、糖度が高いと言われる割りには、そんなに甘いと言う印象は受けなかった。
自分の味覚がおかしいのだろうかと悩んだ挙句、ある一つの仮説を思いついた。
もしかするとイギリスのヴァージニアの特徴「ヘイタイプ」、この干し草香に原因があるのではないだろうか。
もしヘイタイプの科学的要因が、「糖分が熟成過程においてアルコール化し、さらにエステル化している事に起因する」としたらどうだろうか。
すなわち、ヘイタイプのヴァージニアタバコの糖度は、甘さではなく干草香に変化していて、表立った甘さは影を潜めているのではないかとの仮説である。
ところで、肝心のエステル化、有機化学の用語であるので、私のような科学音痴には少々難しい言葉である、ここで少し専門的な説明を書いてみよう。
「エステル」、カルボン酸とアルコールにより脱水縮合したものとの事だが、有機化学は素人なので良くわからない。
このエステルであるが、自然界においては、糖度の高い果物の香を演出する事が多いようである。
その別名は「セメダイン臭」とも言われ、よく過熟のメロンで、苦味と独特の刺激をもつ香を発するものがあるが、これがエステル化を顕著に表したものである。

まあ難しい話を長々と書いてもラチがあかないので、ヘイタイプの独特の香がエステル化によるものかどうかは、取り敢えず横に置いておくとして、タバコのレビューに戻ろう。
早速だが、サミュエルガースの特徴ヘイタイプ、ラタキアの薫香と非常に相性が良いと感じる。
お互いにサッパリ系であるが、やや癖のある甘さを持つ。
しかし、お互いに邪魔する事無く、上手く補完し合い、味わいを強調していると感じる。
この辺りが英国製ラタキア・ブレンドの特徴なのではないか。
従ってこのスキッフミクスチャー、ヴァージニア・ラタキア・オリエントのバランスが、非常にスタンダードな割合になっているタバコだと思う。
オリエントがラタキアの中域を補完し、膨らみと旨味を感じるオリエンタルブレンド独特な味わいを演出し、ラタキアはヴァージニアのヘイタイプの部分と協力し、甘さを補完する役にまわっている。
従って、ラタキア・ブレンドの3要素のタバコが、それぞれ味わいを補い合う事により、吸い易く分かり易い香・味わいのタバコを、演出していると感じる。

さらに前述のバルカンスタイルに比べ、オリエントの味わいがしっかり出ている。
見方を変えれば、「スタンダードなイングリッシュミクスチャーはオリエントを楽しむタバコ」と言っても過言ではないだろう。
そんなこんなを加味して考えると、このスキッフミクスチャー、カタログ通りイギリスのオリエンタルブレンドにおいて、最もベーシックな位置づけのラタキア・ブレンドであると言う事になるだろう。

まあ、そうしておく方が私にとって都合が良くもあるのだが。
何故なら、ここを起点にして様々なラタキア・ブレンドを評価して行く様にすれば、今後のティスティングが楽になるからだ、ただそれだけの理由である。

テイスティングノートでは、皆様のテイティング感想も掲載させて頂く予定です。
一銘柄ごとUP後に、当方までMailにてお寄せ下さい。
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