不定期発行
05月28日号

原作 ルイ・ロペス
作画&管理 店主


グラウスムーア
製造国 イングランド
湖水地方
形状 角缶
内容量 50g
価格 1,650円
歴史の古いブレンドの第二段に持ってきたのがこのグラウスムーア。
サミュエル・ガースの中で数少ない着香物であるにもかかわらず、最も歴史の古いブレンドとの事である。
何故「最も古いブレンドが着香???」と、疑問を持つ人も多いと思われるタバコである。
その疑問を解明出来るか出来ないか、保証する事はできないが、サミュエル・ガースをティスティングするにあたって、まずは乗り越えなければならないタバコである。

さっそくその外見から入るが、サミュエル・ガースには珍しくタバコの色調はかなり明るい。
ライトヴァージニアが中心で、薄いブラウンやレモン色に近いタバコが混じる。
刻はやや太めのリボンカット。
ブレンドとしてはミクスチャータイプのようで、ブロークンフレーク的なタバコは無いと思われる、よく探すとそれに近い葉はあるが、揉まれて丸まっただけにも見える。
何かサミュエル・ガースのラインアップの中でも、一線を隔すタイプのブレンドではないだろうか。
そして肝心の味わい・香の傾向だが、私が勝手に命名している「フローラルタイプのヴァージニア」と言って差し支えは無さそうである。
いや、むしろカタログを見る限り、フローラルタイプのヴァージニア、さらに突っ込んで言及すると、ゴールデンヴァージニアの土台となったタバコではないかとの推測も可能である。

早速ティスティグ開始だが、「まさしく早春の香 ・・・」 
これではカタログそのままで終ってしまうので、手抜きにも程がある。
そんな訳で、いろいろと検証して行こうと思うが、今回は少々変則的な手法から入る予定だ。
取りあえず変則的な手法その一と言う事で、「グラウス・ムーアに近いタバコ」からのアプローチとなる。
良く似たタバコと言うことで、イギリスタバコと近い関係にあると思われる、最近のドイツタバコで比較してみるよう。

色々と思案した結果、以前にチラリと触れている、ワイルドギースが浮上した。
ワイルドギースのうたい文句である「サニーフレーバー」、日向(ひなた)の香りと表現できそうなものだが、これがグラウス・ムーアの早春の香に近いと言う感想である。
「ワイルドギース」、ドイツ系ヴァージニアをベースにし、蜂蜜と小量のペリックで味付けされたタバコである。
ドイツ系のヴァージニアと言えば、インドのマイソールが良く使われるが、これに少量のペリックを入れて酸味の部分を強化し、蜂蜜により甘味を添加する、なんとなく想像できるだろう。
それにしてもこのタバコ、これだけでは納まらない香がある、それは俗に言う、香水様とも線香にやや近いともとれる香。
これは「イギリスのフローラルタイプのヴァージニア」には、大かれ少なかれ感じる共通点である。
ここでハタと閃いた事がある、それは「ヘイタイプのヴァージニア」、これに甘味を添加したらどうなるだろうか。
香水(古い時代の、花びらなどを原料にしたもの)にしても、線香にしても植物由来と言ってよい、蜂蜜のやや青臭い香りも同様である。
有機化学的なアプローチから見てみると、植物の香の重要なファクターとして「エステル化」と言うものも存在する。
このエステル化への言及は、次の「スキフミクスチャー」で詳しく書くとして、イギリス関連のフローラルタイプのヴァージニア、やはりヘイタイプが深く関わっていると思われる。
話が大幅に脱線したので話題を再びグラウスムーアに戻すが、何故このタバコが着香物とされているのだろうか。
これはあくまでも推測の域を出ない事ではあるが、ゴールデン・ヴァージニアも実はグラウス・ムーアに匹敵するような甘味が、添加されているのではないかとの仮説である。
表現を変えると、ゴールデンヴァージニアはグラウスムーアを原型としている、ヴァージニアの加工技術である。
これに関しては全く裏づけは無いのだが、サミュエル・ガースのアイテムにゴールデンヴァージニアを使用しているブレンドが少ない事と、グラウスムーアが十分に古いブレンドである事を加味すれば、ありえ無い話ではない。
まあ、そんな与太話は兎も角、ヴァージニアに合わせても違和感の無い着香と、ヘイタイプを基調としたベースのシッカリしたタバコ。
このグラウス・ムーアは、楽しく軽快に楽しめるヴァージニアタバコとなっている。
その味わい故か、初心者でも違和感なく吸えるし、上級者でも十分に楽しめるタバコになっている、オールマイティーなタバコの代表選手と言って良いかもしれない。

テイスティングノートでは、皆様のテイティング感想も掲載させて頂く予定です。
一銘柄ごとUP後に、当方までMailにてお寄せ下さい。
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