不定期発行
04月28日号

原作 ルイ・ロペス
作画&管理 店主


1792 フレイク
製造国 イングランド
湖水地方
形状 角缶
内容量 50g
価格 1,650円
サミュエル・ガースのベースタバコ、「ベストブラウン」と「フルヴァージニア」のテイスティングが終わったところで、次への展開のつなぎとして「1792」を持ってきた。
「1792フレイク」サミュエル・ガーウィス創業年を、名前に持つタバコである。
カタログには「サミュエル・ガーウィスの古いオープンで何時間もかけて加熱され、その後一晩かけて冷ましました。手間のかかった製造工程」と書かれてあり、缶にはダークケンダルフレイクと、所在地の地域名も入っている。
「イギリス老舗メーカーの歴史が一杯に詰まったタバコ」である事が伺える。
さて、ここからは歴史の古いと思われるアイテム群をテーマに、テイスティングを進めて行こうと思う。
その理由は、サミュエル・ガーウィスが、「タバコのアイテム数が、群を抜いて多いメーカー」である事が一つ。
二つ目が、「時代や顧客のニーズに合わせたヴァリエーションを数多く持っている」ところで、これらを勘案すると、枝葉からテイスティングして行っては、収拾が付かなくなる恐れがある。
その対応策として、歴史の古いと思われるタバコを、カテゴライズしてテイスティングする事にした。

前振りはこの程度とし、さっそくタバコの香を確認。
んっ!?、思いもしていなかった香りである。
カタログにあった「ドライフルーツ系の香りが鼻腔に残り、後味が爽やかな仕上がりになっています」の説明には程遠い。
この独特の香りを一言で表現すると「牛糞」。
まあ牛糞は言い過ぎとしても、堆肥臭である事は間違い無いと思われる、決して「今風のタバコ」ではない。
次にタバコそのものを確認。
見た目は、色合いと言い、フレイクの厚みと言い、フルヴァージニアに近い。
タバコ屋で説明書を確認した限りでは、使われているタバコはタンザニア、今回初お目見えのアフリカン・ヴァージニアである。
しかし、その質感は、ややザックリしている。
香と質感から類似するタバコを探すとすると、差し詰めジャーマインのブラウンフレイクあたりか、これをフルヴァージニアに加工した感じが一番近いと思う。
しかし、この牛糞とも表現できる独特の臭み、何が原因なのだろうか。
好気性醗酵によるアンモニア臭なのだろうか、それともブレンドされているタバコによるものだろうか。
改めて、確認すると同じフレイク系のタバコ「フルヴァージニア」に比べて、タバコのザックリ感が強い。
さらに、フレイクをほぐしながら確認して行くと、ゴツゴツ感のある節が確認された。
このタイプのタバコ葉、以前ストレートタバコを幾つか試した経験からすると、ケンタッキー以外見た事が無いものだ。
もしかしたらケンタッキーが入っているのかもしれない、確かに吸った時の煙の粗さも結構強い。
煙の粗さ、これは以前「タバコの味わい」で書いた「タバコの物理的」な味わいである。
それはヴァージニア・タバコの代表、ブラウンフレークやフルヴァージニアの「滑らかな煙・トロリとした質感の煙」とは明らかに違い、喉にイガイガするほどの煙の粒子を感じる。
この煙の荒さ、これを何とか表現する為に、葉巻の世界で使われている味わいで例えてみよう。
一番近い表現は何だろうかと、色々と思考を巡らした結果、思いついたのが「スパイシー」。
確かに1792フレイクの煙の質感、あえて他のタバコで表現するとすれば、「イタリアのケンタッキー葉巻トスカーナ」、これに非常に近いパイプタバコと言えそうだ。
さて、この味わいがケンタッキー配合が原因なのか、タンザニア・タバコに由来するものなのかは経験不足の為、判然とはしないが非常に特徴的なタバコである事は確かだ。
そこで爆弾発言になるのだが、カタログにある1792フレイクのレビュー「強さはあまり感じられず、その割にコクは充分出ているので常嘆用フレイクとしてもいいでしょう。フレイクの未経験者は入門用として最適です。マイルドからミディアムです」は、私的見解からすると正反対である。
この堆肥臭のするタバコと言い、刺激的で粒子の粗い煙と言い、葉巻で言えば「イタリアの葉巻トスカーナ」、シガレットで言えば「黒タバコ(ゴロワーズ等)」を好んで吸うスモーカー向きのタバコと言う印象である。
もしかするとカタログのティスティングの著者であるが、葉巻、それもパルタガスやボリバー、カマチョコロジョなど、強い葉巻を好むスモーカーなのかもしれない。
それならば、1792フレイクの煙もそれほど強いと感じないであろう。
話が大幅に外れたので元に戻すが、この1792フレイク、「ブラウンフレイクを中心としたヘイタイプのヴァージニア」、「コモンウェルズを基点としたラタキア系のブレンド」などと並ぶ、ケンタキーを土台としたアイテム群としてカテゴライズ出来そうである。

テイスティングノートでは、皆様のテイティング感想も掲載させて頂く予定です。
一銘柄ごとUP後に、当方までMailにてお寄せ下さい。
なお、不適当と思われるものは掲載をお断りする場合も御座いますので、予めご了承下さい。
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