不定期発行
9月1日号

原作 ルイ・ロペス
作画&管理 店主


バルカンスタイル

ラタキアブレンドのティスティングに入る前に、どうしても気になる事がある。
それがバルカンの名前を冠したタバコである。
原因はガーウィス・ホガースのバルカンミクスチャーである。
実は、ジャーマインのティスティングの後に、ガーウィス・ホガースの着香を持って来る予定であったが、どうしてもバルカンミクスチャーが気になった。
その「気になった理由」であるが、バルカンスタイルとはどの様な傾向を持つタバコなのか、これを整理したかったからである。
「ラタキアブレンドの章」の冒頭でも紹介しているが、ラタキアブレンドはラタキアのキャラクターが突出しやすい為、ティスティングの持ってき所が難しいタバコである。
ガウィス・ホガースのバルカンミクスチャーもその例に洩れず、ティスティングの落としどころに苦慮しているのが現状だ。
そこでハタと思いついたのがバルカンスタイルの傾向を整理する事である。

私が独学(独善的とも言えるが)で学んだ限りにおいて、ラタキアブレンドのタイプは、スタンダード、スコティッシュ、バルカン、その他の4種類である。
これを整理しながらラタキアブレンドのティスティングを進めて行くのも面白い。
まあ、これは単なる恰好付けで、本当のところは、「ラタキアブレンドは、タイプ別に整理でもしなければ、とても手に負える代物ではない」と言ったところだ。
いささか言い訳が助長になったが、そろそろ本題に入って行こう。

さて、まず最初に検証するところは、バルカンの名を持つタバコのブレンド構成だ。
ネットでいくつか調べた結果は、ヴァージニアにラタキア、そしてターキッシュが主である。
構成から類推するに、高音域に味わいが突出しやすいブレンドの様である。
さらに面白いのは、サミュエルガースのバルカン系のタバコだ。
白羽の矢を立てたのが、コモンウェルズ。
カタログには、往年の人気銘柄、バルカンソブラニーとジョンコットンの愛好家向けとされている。

ジョンコットンにバルカンソブラニー、私の記憶が確かならどちらもバッサリした感じの味わいで、初心者だった私にもやや吸いやすいラタキアブレンドだった記憶がある。
確かにコモンンウェルズも、吸ってみた感じは中域の味わいが淡白でバッサリしている。
従って、これをバルカンスタイルと考えて良いであろう。
さらにもう一品チョイスしてみたのが、サミュエルガウィスで唯一(たぶん・・・アセ;)バルカンの名が付いているタバコ、「バルカンフレイク」。
試しに吸ってみたが、確かにザックリとした印象で、ラタキアらしい高音域に突出した味わいのタバコだった。



ここで、バルカンフレイクのブレンドの調査に入る。
もちろん、コモンウェルズのブレンドが、ヴァージニアとラタキアの比率50対50であるのは衆知の事実である。
さてバルカンフレイクはどうなっているのだろうか。
早速、インターネットのパイプタバコレビューサイトを確認し、少なからず驚いた。
なんとバルカンフレイクのブレンド内容は「ヴァージニア 70% : ラタキア 30%」の構成となっていた。
どうやら、サミュエルガーウィスのバルカンスタイル、これを見る限りでは「イングリッシュミクスチャー3本柱の一つオリエント」を、配合していないタバコと見て間違いない。

しかし、このオリエントを加えないイングリッシュブレンド、私の様な一般ピープルスモーカーからすれば意外な存在に写る。
しかし、これを逆説的に捕らえてみれば、サミュエルガースのブレンドこそが、バルカンスタイルの顕著な特徴を表しているとも言えなくはないだろうか。
そう考えると、バルカンスタイルとは「ヘイタイプ(ヴァージニア)の線の細い甘味と、ラタキアの線が細く独特な香が、相乗効果を上げる系統のブレンド」だと言う推論に行き着く。
う〜ん、目から鱗である。

さらに、ここから妄想を膨らませてみる。
その妄想とは、「そもそもバルカンスタイルなるタバコは、ヘイタイプのヴァージニアをはずしては成り立たない」。
いささか独断的な妄想ではあるが・・・
もしかすると、ジョンコットンやバルカンソブラニーが消えてしまった理由の一つに、「ヘイタイプのヴァージニア」の需要減と言う、影があるのではないかと思ってしまった。
さて妄想はこの位にし、そろそろ話をまとめよう。

今回行なったバルカンスタイルの検証だが、前述の「英国タバコに対する仮説」で触れている「ヘイタイプのヴァージニアとラアタキアの相性の良さ」、この有力な証拠になりそうである。
ここで、いよいよラタキアブレンドの本丸、「イギリスのパイプタバコとヘイタイプのヴァージニア、バルカンスタイルとラタキアブレンド(スタンダードの物)との関係性」と行きたいところであるが、残念な事にここから先は今後のティスティングのネタバレになる恐れがある為割愛する。
とは言っても、バルカンスタイルのアウトラインと言うか、雰囲気位はおわかりいただけた事と思う。
ラタキアブレンドの総合的な検証に関しては、ガウィス・ホガースシリーズが終ってから、サミュエルガースの章でゆっくり行う事として、この辺りで筆を置かせていただきます。

テイスティングノートでは、皆様のテイティング感想も掲載させて頂く予定です。
一銘柄ごとUP後に、当方までMailにてお寄せ下さい。
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