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不定期発行
9月10日号 |
原作 ルイ・ロペス
作画&管理 店主 |
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プラム・ケーク
原産国 イギリス(ジャージ島)
タイプ ヴァージニアブレンド
内容量 50g
価格 1650円
形態 角缶 |
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さて、今回は問題のプラム・ケークであるが、これがまた曲者だ。
何が曲者か、実はジャーマインをドイツのタバコメーカーと勘違いした、その元凶であるからだ。
「プラム・ケーク」その名前から想像できるのは着香タバコである。
カタログにも「後味にプラムの香を残す」こんな説明がなされている。
従って着香使用のドイツタバコと考えた訳だが、ジャーマインが「パイプのメッカ」イギリスの老舗メーカーであると分かった以上話は変わる。
何のタバコをブレンドする事でプラム様の味わいを演出しているのか、ここにポイントを置いてテイスティングしなければならない。
ただ、ここで一つの問題が生じた。
このプラム・ケーク、カタログに記載されているのは歴史と製造方法だけであり、ブレンド内容に関する記述が各種ヴァージニアのみとなっている事だ。
結果、プラム様の味わいを演出している原料タバコの構成が、カタログからも名前からも想像する事が困難になった・・・シビアな現実である。
と、こんな書き出しではあるが、取り敢えずはミディアムサイズのパイプで吸ってみた。
まず見た目だが色調は以外と暗い。
香から判断する限りにおいては、ゴールデンヴァージニアを使用していると感じるが、外見からの検証だとブレンドの中心がブラウン系のタバコで、そこにやや色の明るいタバコと黒いタバコが小量ブレンドされていると見える。
肝心の香・味わいであるが確かにプラムっぽい甘酸っぱいものである。
後味にも間違いなく果物っぽい酸味のある甘さが残る。
ただしそれは柑橘系ではなくプラム系、いや乾燥フルーツ系(プルーン等)か。
一応、タバコの味わいがカタログの説明通りである事は確認したので、次に大きめのチャンバーのパイプでブレンドの検証にはいった、チャンバー系は22mm、形状はスタンダードなストレートタイプ。
言い換えれば、結構大ぶりのビリヤード。
早速テイスティング開始だが流石はラージクラスのパイプである、タバコの味わいがバラケ始める。
もしかすると味わいに時間差が生じているのかもしれない。
そのバラケタた味わいの中から、フト顔を覗かせた、見覚え(吸い覚えか?)のある味わい・香があった。
ここで過去の喫煙記憶の総動員が始まる。
確かこの味は何処かで吸った覚えが ・・・
何度か煙を吐くと同時に、頭の中を思考がグルグル回る、そしてハタと行き着いた記憶があった。
ズバリそれは「フルヴァージニア」、なるほどである。
蜂蜜様のゴールデンヴァージニアにヘイタイプのブラウンフレイク、そこに干しブドウに例えられる味わいのフルヴァージニア。
手品の種明かしの様なもので、判ってしまえば単純なものである。
それぞれのヴァージニアの味わいを把握していれば、プラム系の味わいが口に残る事も想像出来るはずだ。
さらに、甘味に対して付け足すならば、ジャーマインの特徴「メリーランドキャベンディッシュの淡白な甘味に、フルヴァージニア系のややスパイシーな甘味が加わる」、これがプラムを感じさせる後味の正体かもしれない。
良くできたフローラルタイプのヴァージニアだと思う。
このブレンドが登場するのが1930年代である、その当時のイギリス人達は驚いたに違いない。(かなり大げさな表現だが)
その昔、タバコと言えばヘイタイプのヴァージニアもしくはオリエント配合のブレンドしか存在しなかったと想像するが(まあ、それに付け足すとすればフル・ヴァージニア、縄タバコ辺りか)、そんなスモーカーにとって、このプラムフケークは衝撃だったのではないかと思う。
そんな理由で、このタバコもその後のイングリッシュタバコに大きな影響を与えたのではないかと考える。
確か、ダンヒルのロイヤルヨット(ドイツ製造)、アイルランドのエリンモアも同系統のタバコだった記憶がある。
ピーターソンのシャーロック・ホームズも言うに及ばすである。
この辺りのタバコ(香りが分かりやすいヴァージニア)が好みのスモーカーにとって、試してみる価値は多いにありと断言しておこう。 |
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テイスティングノートでは、皆様のテイティング感想も掲載させて頂く予定です。
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