第四章 閑話 パイプにまつわるエトセトラ

2.閑話 ベースタバコ紹介
※パイプ煙草のベース、指標にしている煙草。


メイド・イン・デンマークで、マック・バレン・タバコ・カンパニー初期の時代から続くヴァージニア100%の煙草。
何も足さない、何も引かない、さりとてほのかなヘイタイプ(干し草様の香りと味わい)を感じる正統派。
個人的には、パイプの本場イギリスの血を引くと、評価している煙草である。

諸般の事情により「コーンパイプ探検記」だが、このマックバレン社のヴァージニアNo.1を「ベースタバコ」に位置づけで展開する予定だ。

では本編に入る前に、マックバレン社 ヴァージニアNo.1を、ベースタバコにした理由を列挙して行こう。
現在のパイプ喫煙において、外すことのできないタバコだと考えているのでご一読の程を。


(ザ・タバコ)
パイプタバコのブレンドにおいて、ベースタバコと言えばヴァージニアである。
原則、余分な着香などは行われず、パイプタバコのニコチン成分や、タバコとしての旨み、甘み、香りを楽しませてくれる煙草葉がヴァージニアだ。
このヴァージニアタバコをベースにし、様々な加工葉をブレンド、さらには着香などを加える事により、パイプタバコは作られて行く事になる。
簡単に説明すれば、パイプタバコの基本がヴァージニアと言っても過言ではない。(ただし、バーレー100%のストレート・アメリカンは除く)

なおマック・バレンの包装には、「SINCE 1826」との表記があるが、この時代からパイプタバコを作っているとすると、古くからあるタバコの代表とも言える「ヴァージニアNo.1」、アメリカからヨーロッパに着香技術が導入される1930年、それ以前からのタバコと考えて良い。
すなわち、ヨーロッパが現在のパイプタバコのスタイルになる前、イギリスの模倣でありイギリスへの輸出も視野に入れて製造されていたタバコ、その流れを汲んでいると思われる。
従って私はマックバレンのベースになっているヴァージニア、パイプの本場イギリスの血を引くタバコとの評価をしている。

ちなみにヨーロッパタイプの走りであるダッチ、正式名称は「オリエンタル・コンチネンタル・ナチュラル」になるが、この代表銘柄であるアンフォラ、パウチの表記は「SINCE 1860」となっている。
パイプタバコに、イギリス・タイプとアメリカ・タイプしかなかった時代、いち早くヨーロッパスタイルを築き上げたのが、「オランダ製造のダッチ」である事を加味すると、それより古い創業のマック・バレンは、よりイギリスの流れが濃いと推測できる。
では早速、このタバコをベースにする理由を列挙して行こう。


(入門用) 求め安いヴァージニアブレンド
      ※メイド・イン・デンマーク

入門用としてもっとも重要なのは、日本全国何処でも購入可能であり、さらに比較的安価で手に入る事だ。
しかも、2020年代のパイプ事情において、日本で購入できるパイプタバコの大半を製造しているのがデンマークである(スカンジナビアン・タバコ・グループ、マック・バレン・タバコ・カンパニー)。
このヴァージニアNo.1だが、デンマーク製造のパイプタバコにおいて、ベースになるタバコとして考えても問題ないと思う。
さらに、タバコを味わう為の喫煙技術もそれほど難しく無く、味わいも比較的わかり易い、入門用のヴァージニア・ブレンドとして、知っておいて損のないタバコだと考える。

(味わい)
冒頭で「何も足さない、何も引かない」と表現したが、このヴァージニアNo.1は非常に素直で控えめな味わいのタバコだと思う。
ブライト・ヴァージニアと言える味わいで、さりとてほのかなヘイタイプ(干し草様の香りと味わい)を感じる正統派。


ここで私のテイスティングの手法を紹介しよう。
まず最初に行うのが、「テイスティングの指標」として、ベースタバコを見つけだす事。
ベースタバコにあたりが付いたら、次にそこから他の原料タバコを積み上げ、さらに香りの添加を確認して行き、最終的にはブレンダーの思惑などを推測して行くあり方だ。
テイスティングにこの手法を行う限り、デンマーク製造のパイプタバコにとって、ヴァージニアNo.1は良い指標となってくれる。
現在手に入るパイプタバコの大半がメイド・イン・デンマークになっているのが現実である、このタバコを知っておいて損は無い。
ちなみに、日本で手に入るパイプタバコは、現在デンマーク産とドイツ産ばかりとなっているが、ドイツ産のヴァージニアブレンドはどれも缶入りで高額なものばかりだ。
手軽に楽しめるパウチ物のベースタバコを探るのに、同じパウチ物で安価なヴァージニアNo.1は、タバコ的にも価格的にもまさにジャストサイズである。

なおこのタバコ、食べ物に例えると白飯のような存在である。
タバコの基本であり、余分な味付けもされておらず尖った部分が少ない。
従って、他のタバコとの相性は非常に良いと思う。
かく言う私は、希少となってしまったタバコ、エスクード(ルイジアナ ペリック物)や、マクレーランドのヴァージニアブレンド。
そのままパイプに詰めて吸うのが勿体ないので、ヴァージニアNo.1をブレンドする事で、タバコのかさ増しをして楽しんでいる。
非常に素直な味わいのタバコ故に、エスクード風ヴァージニアブレンドや、サッパリ風味のマクレーランドに無理なく仕上がってくれている。
一家に一袋あっても邪魔にならないタバコではある。


(重さ)
ここでは「タバコの重さ」に対して言及しよう。
ただし、この重さには二つの意味がある。
一つは言葉通り「タバコ葉の比重」だ。
正確に比較した事は無いので、経験的目分量ではあるが、パイプタバコの比較では、ヴァージニアブレンドが一番比重が重いと感じる。
従って、ヴァージニアのフレイクタバコを、バーレー主体のアメリカンタイプと比べた場合、同じ重さであればアメリカンタイプの方が体積は大きくなる。
従って、この二種類のタバコを同じ体積のパイプに詰めた場合、バーレータバコは思ったほど詰められない。
たぶん、オリエントやラタキアもヴァージニアタバコに比べ比重が軽いと感じるので、結論としてヴァージニアブレンドの方が、同じパイプであってもより大きな重量を詰める事が可能となる。
結果、タバコ葉の重量と喫煙時間が比例する事を加味すると、喫煙時間も以下のような具合になる。

ヴァージニアブレンド>イギリスタイプ(ラタキアを含む)>ヨーロッパタイプ>アメリカンタイプ

だいたいこんな順序だ。
簡単に言えば、このマックバレンのヴァージニアNo.1、パイプの喫煙可能な限界時間の指標になると言うことだ。

さて、次に紹介するのが「タバコ(喫味)の重さ」である。
これは、プレミアムシガーなどで良く耳にする言葉、「ニコチン酔い」の原因となるものである。
喫煙初心者が強い紙巻きタバコを肺喫煙した時に起こす、「ヤニクラ」と同じと言って良い現象だが、口腔喫煙であるパイプやシガー(葉巻)でも「ニコチン酔い」は発生する。
ただしパイプタバコの場合、「加工度の高いタバコ葉」ではニコチン酔いは起こりにくい。
まあ、これも私の目分量的な感覚だが、加工度の高いタバコ葉、ブラックキャベンディッシュやラタキア、また加工度が低くてもオリエント葉などで、重いニコチン酔いを感じた経験はあまり思い浮かばない。
私が明らかにニコチン酔いだと感じるのは、大きな葉巻(プレミアムシガー)を吸った時と、休日などに4g以上詰められる大きなパイプで、ヴァージニアブレンドを吸ったときくらいだ。
そんな訳で、どのくらいパイプをふかしたらニコチン酔いになるのか、その指標としてヴァージニアNo.1は打ってつけのタバコである。
(ちなみに私の場合このタバコ、ミディアムサイズのパイプで、2連チャン喫煙をするとニコチン酔いを起こす。)

(舌の荒れ)
これから紹介するのは「パイプ喫煙技術」に関わるものだ。

「煙をホットにすると舌が荒れる。」

パイプ本のハウ・ツーでよく見かけるセリフである。
もっとも煙が熱く感じるような喫煙はもっての他である。
ただし、パイプのくゆらせ方を書き始めると話が終わらなくなるので、ここでは、ヴァージニアブレンドを楽しむ妙諦のみ提示しておこう、それが以下である。

「ブランデーをロックで嗜むが如し。」

もっとも、下戸な私が言っても説得力はないが話を先に進めよう。
ネットを検索すれば出てくるが、舌が荒れる原因として「煙をホット」にすると言ったものがある。
しかし舌の荒れに関しては「煙をホットにする」以外にも、もう一つ要因が指摘されている。
それが、「煙のPH値の上昇」。
何でもタバコ葉に含まれる糖分だが、ユックリとクールスモーキングすれば甘みを楽しめるものになるが、燃焼温度を上げ過ぎるとPHがアルカリに傾くとの事だ。
このPH値の上昇(アルカリ性への偏向)が、舌をピリピリさせる原因になっているとの事だが、やはりお肌には弱酸性が適していると言う事と同じなのだろうか。
ではここで肝心のタバコ葉に含まれる糖分を比較してみるが、アメリカタイプのベースとなるバーレー葉が0.2%の含有率との事。
これに対し、ベースタバコの王様と言えるヴァージニア葉、その糖分含有量は20%を越えるらしい。
そう言えばたまに、ヴァーニア葉100%のタバコで、やたら口に痛い煙の物に出会うことがあるが、たぶん糖度が高く、煙がアルカリ性になっていたのではないかと推測する。
そこで、このヴァージニアNo.1の登場だ。
これはあくまでも私見ではあるが、丁寧に吸えばほのかな甘みで美味しいが、荒っぽく吸うと口にピリピリ来るこのタバコ。
煙のPH値による舌の荒れと言った基準からみた場合、ヴァージニアNo.1は程良いライン、ほぼセンターに位置するタバコだと思っている。

あまりまとまりの無い話しになっているが、マック・バレンのヴァージニアNo.1をこれから書いて行くコーンパイプ探検記のベース、基準になるタバコとするその理由はこんなところである。


次号へ
一つ前に戻る
目次へ戻る

トップページへ戻ります 1つ前にページへ戻ります メニューページへ

未成年者の喫煙は禁じられています。
あなたの健康を損なうおそれがありますので、吸い過ぎに注意しましょう。
喫煙マナーを守りましょう。タバコのフィルターは自然界では分解しません。

ホームページ上の全てのファイルは、リビングショップ安藤(有)に帰属します。無断で、使用する事を禁じます。
L.S.A(リビングショップ安藤)ホームページ
Copyright (C) LivingShopAndo All Rights Reserved