31.パイプ入門(タバコ編3)

パイプ入門(煙草編)も三回目となった、紙面の関係もあるのでサクサク進めて行こう。

 

紹介するのは、パイプ煙草の味わいを、修飾する為に使われる原料葉四種である。

 

今回も、専門的な突っ込みは無しでお願いする。

 

【パイプ煙草 原料葉編2】

 

3.キャベンディッシュ

 

ヴァージニアについで、複雑で種類の多い煙草だ。

 

刻みは2~3mmのリボンカット。

 

加工度合いも、加香の種類も多く、アロマティック・ブレンドの代名詞の様に捕らえられている原料葉だが、以外と歴史は古いと考える。

 

カタログの説明によれば、キャベンディッシュは、英国の貴族の名前にちなんで付けられたものであるとの事だ。

 

その貴族とは、初代ニューカッスル公爵「ウィリアム・キャヴェンディッシュ」。

在世したのは1592年から1676年。

 

キャベンディッシュタバコの製法はこの時代(1660年前後)、ニューカッスル公爵により編みだされたと言う事である。

 

ずいぶん昔の話であるが、その使われ方は時代、すなわち煙草のタイプにより異なる様だ。

 

取り敢えず、独断と偏見で列記しよう。

 

・イギリス・タイプ ※ピュア・ブラック・キャベンディッシュ

 

干しぶどう様の甘みがあり、軽めのブラック・ヴァージニアとも言える。

使い方として、甘みの補強と煙草を軽くする為。

 

他には、ミクスチャーに一体感を出す役割もあると感じている。

 

イングリッシュ・ミクスチャーにキャベンディッシュを使うと、原料葉の味わいが一つにまとめられ、いわゆるボディ感のある味わいになる、そんな風に感じている。

 

 

・アメリカ・タイプ

 

アメリカ・タイプに使われるキャベンディッシュは、とにかく「ケミカルで激甘」、これ一本と言った感想だ。

 

「色々な着香」に関してはバーレーが担っているので、キャベンディッシュでバリエーションを出す必要はない、そんなイメージを持っている。

 

逆に言うと、「ケミカルで激甘」この味わいが無いものは、アメリカン・ミクスチャーとは呼べない、そんな位置づけのキャベンディッシュだ。

 

 

・ヨーロッパ・タイプ

 

イギリスにしろアメリカにしろ、キャベンディッシュを一つの原料葉としてしか捕らえていない。

 

従ってし、あくまでもキャベンディッシュの味わいは一つ、そんな風に考えても当たらずと言えども遠からずだ。

 

それに対し、ヨーロッパのキャベンディッシュは、各国・各ブランドの特色を出す為に、様々な加香がされている。

 

北欧では、洋酒に合う煙草と言う事で、サッパリしてやや苦みを感じるベース煙草に、ほのかなチョコレートが香るブラックキャベンディッシュをマリアージュさせている。

 

そして、二つの煙草の配合を、洋酒のトップフレーバリングに合わせる事で、多彩なラインアップを揃えている。

 

また、他にはオレンジ系のフルーティーな味わいのベース煙草に、豪華なキャラメル風味のブラック・キャベンディッシュを合わせているブランドもある。

 

この様に、ヨーロッパではキャベンディッシュをヴァージア同様、様々にアレンジして使用している。

 

・ブラックとゴールデン

 

現在のキャベンディッシュは、使い勝手やバリエーションの出し安さから、圧倒的にブラックキャベンディッシュが多いが、ゴールデン・キャベンディッシュと言うのも存在する。

 

色は黄色で、味わいはバタースカッチ様のものだけであり、煙草としてはそれなりに重く、ブラック・キャベンディッシュより使い勝手は悪いと思う。

 

なお、名前にゴールデンのついたアロマティック・ブレンドには、これが使われている事が多い。

 

 

4.ラタキア葉

 

イギリスタイプのミックスチャーには欠かせない煙草で、ラタキア・ブレンドを生み出した。

 

ラタキア葉は、言わばタバコの薫製であり、オリエント葉を乾燥室に吊るしながら、生木の煙で乾燥付香させ、黒色に仕上げたものだ。

 

刻みは2~3mmのリボンカット、甘臭を伴った薫製の強い香り、日本では別名「正露丸臭」とも言われる独特な香りだ。

 

煙草としては軽く、緩和で軽快な甘味が特徴で、オリエントとの相性が良いと感じている。

 

このオリエントとの相性については、次の「オリエント」のところで紹介しよう。

 

なお、ラタキア葉の産地はキプロスとシリアの二カ所と言われている。

 

・キプロスとシリア

 

かなり昔になるが、向学の為にキプロス産とシリア産のラタキア(ストレート)をテイスティングした事がある。

 

その時の感想としては、「ラタキア香が強く繊細なキプロス、オリエントのキャラクターを残しやや穏やかで複雑な味わいのシリア」こんな印象を持った。

 

ただし、2010年のカタログによれば、シリア産の煙草に「無くなると噂の絶えない」と書かれていた。

 

また、同時期にとある筋から「シリア産の保管庫の大規模火災」の情報もあったので、現在ラタキア葉がどうなっているのかは定かでは無い

 

 

5.オリエント

 

特有な芳香と緩和な甘味、うまみのある香喫味が特徴の小型葉。

 

空気乾燥により黄緑色~褐色に仕上げられる。

 

刻みは2~3mmのリボンカットと考えておけば良い。

※ラフカットのオリエントも見た記憶はあるが・・・・・・

 

これだけだと分かり難いので加筆するが、オリエントと言うだけありアーシー、すなわち土系の香り、膨らみのある甘みの煙草である。

 

初心者の頃、オリエントが主体のブレンドに「段ボールの甘み」を感じた記憶もあり、やや癖のある香りである。

 

カタログには、オリエント・メインの煙草をジャーマン・スープレックス・・・・・・

 

もとい、ジャーマン・ブレンドと呼ぶと紹介されている。

 

しかし近年では、オリエント主体の煙草はあまりお目に掛かれなくなっている。

 

と言う事で、現在のオリエントは、もっぱらラタキア・ブレンドに活躍の場を求めているようだ。

 

・オリエントとターキッシュ

 

物の本などには、オリエント葉の事をターキッシュと書かれている事も多い。

 

しかし、ルイ・ロペスの経験からすると、ターキッシュはトルコ産のオリエント葉であり、それ以外のオリエント葉とは別に捕らえるべきだと考えている、詳細は下記の通り。

 

・ターキッシュ

 

トルコ産のオリエント葉、色は黄緑と褐色のマダラであり、トーンの高い独特の甘みを持つ。

ラタキア・ブレンドでの特徴的な使われ方は、それぞれの原料葉が、複雑に味わいを演出するものとなる。

 

ヴァージニアの干し草様の甘みに、トーンが高く香り立つラタキア臭、そしてターキッシュの独特な甘み、それぞれがバランスを取りながらも主張する、そんな煙草に向いている。

 

・オリエント

 

トルコ産以外のオリエント葉で、香りはアーシーと呼ばれややトーンの低い膨らみを持った味わい。

これは、オリエントの薫製であるラタキアの(トーンの高い香り)、中域の味わいを補完し、線が太く落ち着きのあるラタキア・ブレンドを演出するのに向いていると感じている。

 

 

6.ペリック

 

一言で表現すると「タバコの漬物」

 

生葉に圧力を掛け、ウイスキー樽で数か月熟成させ黒変させた煙草。

 

刻みは2~3mmのリボンカット。

 

水分含有量も高く(ストレート葉はビニール袋に入っていた)、酸っぱくなった高菜付けを彷彿させる香りだった記憶がある。

 

ブレンドの味を引き締める為に使用されていると言われ、ヴァージニア・ブレンドやラタキア・ブレンドに使われる事が多い。

 

 

・幻のルイジアナ

 

ペリック葉はその昔「ルイジアナ・ペリック」の呼び名で親しまれていた。

 

理由は、アメリカ・ルイジアナ州の一地域で栽培されていた、在来種で作られていた為だ。

 

しかし今ではこの在来種、一軒の農家でしか生産されておらず、その全てをアメリカの大手メーカーに独占契約で買い上げられている。

 

従って、パイプ煙草で味わうことは出来なくなっているそうだ。

 

そんな事情もあり、現在のペリック葉はケンタッキーから安価なたばこ葉を買い付け、これをおなじ熟成法で処理した代替品「アカディアン・ペリク」を使用しているとの事だ。

 

 

さて、情報量も多くなって来た。

パイプ煙草については、この他にも「刻みや煙草の形状」もあるが、これはパイプとの関係も深いので、「パイプ入門(パイプ編)」で話題に取り上げて行こう。


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