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第三章 |
1.タバコを楽しむ |
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タバコを楽しむと言う事で、まずはパイプ煙草の特異性から解説して行こう。
まずはタバコとしてもっとも一般的なシガレットの説明から。
これは第二章でも書いたが、シガレットはマスマーケティングに適しており工業製品と言っても過言ではない煙草である。
従って、シガレットは商品として誰もが手軽に楽しむことができる。
ラッキーストライクはラッキーストライクとして、マルボロはマルボロ、アメスピはアメスピとして、ただ火と点けるだけで誰もがそのブランドの味わいを楽しむ事ができる。
ただし反面、シガレットのブレンドはかなり複雑であるようだ。
これはその昔JTの関係者から聞いた話であるが、農産物である煙草は毎年変わる。
天候や畑の状態、乾燥に熟成。
この農産物である煙草を、あたかも加工品の如く毎回同じ味わいにするのは至難の技で、専属のブレンダーが何十と言う口座(原料となる煙草)をブレンドして、均一な味わいになるようにしているとの事だ。
ただし、ただしであるそんな工業製品であるシガレット、同じ銘柄でも製造工場が違うと味わいも微妙に異なると言う。
その昔、全く同じ銘柄でハードケースとソフトパックが存在した時代があるが、このハードケースとソフトパック実際に味わいが違ったとの事だ。
理由は製造工場が異なる事にあると、関係者がコッソリ教えてくれた。 |
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話がシガレットのブレンドに逸れたがこれには訳がある。
何十と言う口座をブレンドしているシガレット、正直素人がブレンドについて考える、考察する事はほぼ不可能に近い。
それに比べパイプ煙草のブレンドは比較的分かりやすい。
ブレンドの基本となるヴァージニアとバーレーにオリエント。
煙草に香りや味わいの変化を付ける為に加工された煙草、ラタキア、ペリック、キャベンディッシュ。
後はケーシングやトップフレーバー、ミクスチャーやフレイクなどの加工。
以上の知識さえあれば、パイプ煙草のブレンドはおおよそ見当が付く。
これであれば専門のブレンダーでもない、我々一般スモーカーでもブレンドの構成や煙草の味わい、ブレンドのねらいに至るまで思いを馳せる事が可能だ。
すなわち、煙草に対するそれなりの知識があれば、煙草やブレンドをより深く理解することができる、それがパイプ煙草の特徴だと言う事だ。
シガレットや葉巻に比べ、パイプ煙草のブレンドは優しすぎず難しすぎず、ちょうど良い塩梅の嗜好品だと考える。 |
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これらの事を踏まえ、これから煙草の楽しみについて紹介して行く事になるが、そこで理解してほしい結論は次である。
「一番肝心な事は、パイプ喫煙で何を楽しみたいのかを明確にする事」である。
例えそれが同じ銘柄の煙草であっても、ブレンドの妙を楽しみたい時、アロマを楽しみたい時、ベース煙草を楽しみたい時、甘さを強調するコクを強調する。
このように、同じ煙草であっても様々な楽しみ方ができるのだが、実を言うとこれらの楽しみは、パイプ選びでそれなりに選択可能である。
ビリヤード、ベント、ダブリン、アップル、チャーチワーデン。
様々なパイプがあり、それぞれがどんな煙草に適しているかを熟知しておいてパイプを使い分ける、この辺りがスモーカーの腕の見せ所となる。
ただしパイプ喫煙と言う趣味は、煙草とパイプと技術の三つが入り組んだ手強い相手である。
二兎追う者は一兎を得ず、パイプや喫煙技術に目を向ける前に、まずは煙草の特性を知る事から入るのをお勧めしたいと考えている。 |
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すなわち、煙草の味わいや楽しみはどんなものが有り、それが何によって、どんな条件によって楽しめるのか、その基本から学ぶ必要があると言う事だ。
理由は至って下賤なものにはなるが、経済的に見た場合、至って高価なパイプを取りそろえる事から喫煙を始めるのは、いささかお金が掛かり過ぎると言う事に尽きる。
どうせ美味しく喫煙する技術が身につかなければ、高価なパイプも宝の持ち腐れである。(これは言い過ぎであるが・・・・・・)
それに比べ、煙草は毎日吸う事になるのだから、まずは煙草の知識を掘り下げる事から始めても、決して損にはならない。
まあこんな具合に、煙草から勉強を始める方が、経済的にも数段お得だと考えている。
(高価なパイプを買い揃えても、煙草を買う金が無くなる様であれば本末転倒だ。) |
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ただし上に記した、「一番肝心な事は、パイプ喫煙で何を楽しみたいのかを明確にする事」だが、正直やや難易度が高く経験者向けだと感じる。
令和の時代、パイプ文化をもっと広げて行こうと考えた場合、もっと分かりやすい情報から始める事が必要だと改めて思う。
特に、パイプ喫煙の初心者や、これからパイプ喫煙を検討してみたいと言った人向けのアプローチ、ここから始める必要があると感じている。
そこで肝心な事は、どのような煙草がラインアップされていて、味わいはどんな雰囲気で、またどのように楽しむ事ができるのかを、如何に提示できて行けるかだと考えている。
まあ、この辺りは現在計画中の新企画を、宣伝がてら紹介するとして、まずはその前に、パイプ煙草に対する簡単な知識だけでも先に紹介して行こう。 |
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