29-3 スモークイン・オリエントエクスプレス

2004年10月8日号


 ついに行ってきました、オリエント・エクス・・ ・・ ・・
なんて事は間違ってもありません。
 今回のスモークインネタが、旅情の旅の字も無い、いささか無粋な内容だったので、せめてタバコ位はその気にさせるものにしようと言う事で、次の2つをセレクトしてみた。
 ヨーロッパの鉄道史上、最も豪華な列車として名高いオリエント・エキスプレス、その名前を冠したタバコと、列車の旅と言えば最も夢があり、旅情には欠かせないブルー・トレイン。
 ん〜、タバコだけで世界を旅した気分に浸れる(かなり大げさだが)パイプタバコ恐るべしである。

NIOE オリエントエクスプレス(ナイトエクスプレス)

製造 スイス
イギリスタイプ
売価   2,000円
内容量  50g
形態   角缶
 

 
オリエント・エクスプレス、インターネットで調べてみると、現在の正式名称はベニス・シンプロン・オリエント・エクスプレスだそうだ。
1883年、現在のパリ東駅(当時はストラスブルグ駅)から、イスタンプールへ向け出発したのが始まりで、現在では幾つかのルートがあるようだ。
その中で今人気なのが、ベニス〜フィレンツェ〜ローマを結ぶルートであるが、缶に表記されたNIOEは、ノスタルジック・イスタンブール・オリエント・エクスプレスであるのでここはやはり、かつてのアールベルグ・オリエント・エクスプレスが運行されていたアルペンルートを主なルートとした、ロンドン〜パリ〜インスブルック〜ベニス間を選びたい。
白雪をいただくアルプスの山々を背にのどかな草原が続くチロル地方の風景、そこで嗜むNIOE(製造 スイス)のタバコの味わい・・・・・・・・・
くゆらす煙の向こうに、一生掛かっても拝めない旅情が広がっている。

前置きがいささか叙情的になってしまったが、まあしかし、こうでなくてはスモークインネタに、オリエント・エクスプレスと、ブルー・トレインを持って来た意味も無いと言うもの、では早速、本題に入って行こう。
このオリエント・エクスプレス、カタログでは甘さ控えめの、上品なキャベンディッシュとなっているが、これだけでは皆目見当も付かない。
しかも、缶の表記はバーレーとヴァージニアであるのに、インターネットレビューサイトの情報では、バーレー、ヴァージニア、オリエント、ラタキアで、ノンフレーバーと説明されている。
缶を開けて香を確認する。
やや、香水系の香が感じられ、そこにバーレーの発酵感が混じる。
タバコの形状はレディラブド、色は暗めの茶色で、さらにほぐして確認すると、薄い茶色から黒い茶色まで数種のタバコのブレンドが確認できる。
この外見から考えると、タバコレビューの葉組みが正しいのではないかと思われる。
ただし、ブレンドしてから圧搾熟成させている様で、バーレー、ヴァージニア、オリエント、ラタキアと言っても、イングリッシュミクスチャーではない。
あえて言えば、マックバレンのラタキアブレンド系。
香、味わいはスコティッシュブレンド(同じスイス製のダビドフ似)に
バーレーによりトルースト風のトースト感を足し、
タバコ感の厚みを出す為に、オリエント・ラタキアを極微量添加した感じか。
しかし、味わいにラタキア、オリエント感は表立って感じない。
極少量ブレンドされた、ラタキアとオリエントが、やや香水系に感じる香りを演出しているのかもしれない。
こう考えてみると、このオリエント・エクスプレスは、ピーターソンのユニバーシティーフレークのノンフレーバー物を崩したタバコに近いとも考えられる。
タバコの刻みはやや太めで、水分含有量は多い。
ノンフレーバーながら、やや香水系の香を感じる。
純粋なヴァージニアフレイクとも、イングリッシュミクスチャーとも違う。
極めて伝統的と言うか、ボンドストリートやトルースト等の古き時代を謳歌した時の、歴史を彷彿とさせるブレンドと言えそうである。
「オリエント・エクスプレスでの長旅のお供に」がコンセプトだそうだが、決して派手な香りでもなく、タバコとしてはそれなりにシッカリとした重さを持っていながら、肩肘を張らずに煙にできる。
ユッタリと、リラックスしながら旅を楽しむには、中々心憎いブレンドと言えるタバコである(少し誇張しすぎですが)。

GBブルートレイン

製造 ドイツ
イギリスタイプ
売価   3,500円
内容量  100g
形態   角缶(パウチ包装)
 

 
 ゴールデンブレンズシルーズの名が付く、ドイツポッシェル社のタバコ。
安藤さんのサイト宣伝文句にピーチとワインのトッピングとあります。
日頃、ヴァージニアブレンドや、イングリッシュミクスチャーを、愛用しているスモーカーにしてみれば、思わず敬遠したくなるタバコかもしれない。
しかし、そこは安心してもらって良いと思う。
このタバコは「ブルー・トレイン」、その缶のデザインもチロル地方を疾走するオリエントエキスプレスを彷彿とさせるデザインである。
その味わいのコンセプトは、前述の「オリエント・エクスプレス」と同じなのであろう。
香もさほど目立つものではなく、あくまでもヴァージニアを主体にしながらも、気軽に楽しめるタバコに仕上がっている様だ。
ブレンドはヴァージニアとラタキアのみ、着香はカタログの記述をみる限りは、桃とヒューメープロンのワインとなっているが、その表現はブーケとなっていて、樽で熟成された結果となっている。
何とも想像でしか語れない様な説明であるが、まあ微着香と言って良い程度の香であり、強めのケーシングソースを使った無着香物と大差はないだろう。
葉組みは、細めのリボンカットのライトヴァージニアに、ラフカットのヴァージニア、これは一見バーレーに近い様に思えるが、バーレー特有の多孔質感がないのでヴァージニアで良いだろう。
多分、燃焼調整の為にブレンドされていると思われる。
そして肝心のラタキアだが、トッピングと言える位、極少量で、ラタキアが苦手なスモーカーでも行けそうな雰囲気である。
そして全体的に明るい色調で、結構乾燥気味、少し煙は辛いが、火付きの良いのは助かる。
ただ、喫煙の後半に喫味の崩れはあるようだが、その辺はドイツ物でゴールデンブレンドの、ベースタバコたる所以か。
しかし、そのベースタバコの弱さを、微着香が中々上手に補っているし、ラタキアの香もアクセントとしては良くできていると思う。
一言で表現すれば、前述のオリエント・エクスプレスを、もう一回り気楽に吸えるタバコにしたと言ったところか。
ヴァージニア主体でありながら、喫煙技術的にも、味わいを分かり易くする程度に、トッピングされた香とラタキアにも、旅行者に対する優しさを感じる。
肩肘を張らずに、オリエントエクスプレスで旅をする時には(まあ間違いなく無理だろうが)是非持って行きたいタバコではある。

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