19-1 ジュースについて

2002年10月11日号


「パイプ物語 第三部 パイプを上手く吸いたい人へ」も最後の章となり、パイプ喫煙の永遠の課題とも言える、ジュースについて触れて行きたいと思います。

クール&ドライスモーキングが最適と言われているパイプ喫煙ですが、慣れない内は中々そうはいかないもので、勢いボールや煙を熱くする。
又、チャンバーの底をジュースでベチャベチャにしてみたり、パイプを強く吸う、あるいは咥えたまま上を向いた時に、ジュースが口に入って来た等と言う、まさに苦い思いをした事も多々ありました。
この、タバコのジュースに関しては、パイプ喫煙の経験が無い人には、分かり難い事かと思いますが、タバコは燃焼させた時に、タバコに含まれる水分・ニコチン・タール・糖質等と言った成分によって、ジュースが発生すると考えられます。
その辺りの詳しいメカニズムまではよくわからないと言うのが本当の所ですが、しかし発生するジュースは決して軽視できない程の量になります。
機能性パイプで試して見たところ、カーステンでは1ボールあたり2〜3滴のジュースは軽く発生します。
ロンソンのディスク装着無しでの喫煙でも、水溜りならぬ、ジュース溜まりが出きるほどの量が発生します。
しかし、このクール&ドライスモーキングが中々に難しいパイプ喫煙ですが、これに対して、様々な対策が取られて来ておりますので、ここで簡単にご紹介しましょう。

まずはクールスモーキングですが、これは喫煙技術を上げるか、煙が通って来る距離を長くするかしか方法はないでしょう。
そしてドライスモーキングに関してですが、喫煙技術を上げる事が大切なのは勿論ですが、様々なフィルターの開発でも、対応がなされております。
もっとも、パイプ自体の構造を変える事でもこれに対応は可能です。
例えば、メシャムであればドライに、チャーチワデン型のブライヤーであればクールに、同型のクレイであればクール&ドライになる様ですし、カーステンの様な機能性パイプも、クール&ドライスモーキングに対応しているパイプと言ってよいでしょう。
このあたりは、第四部で触れる事として、この章はブライヤーパイプのみに絞って行きましょう。

まず、フィルターの変遷ですが、ブライヤーパイプの煙道は3mmないし4mmがスタンダードで、もっともクラッシクな形状だと思います。
当初既製品のパイプは、この3mmの煙道に合わせた、メーカー独自の形の、アルミフィルターを付けている物が主流でした。そしてジュース対策用のフィルターも、その煙道に合わせた、3mmのペーパーフィルターが発売されております。
私も何回か試した事はありますが、1ボール吸い終る前に、吸湿の許容量が一杯となり、目詰まりを起こす事もしばしばだったと記憶しております。あくまでもこれは簡易式、間に合わせのフィルターと言った所なのでしょう。
そして、次に登場したのが、6mm・9mmと言った、太いフィルター装着部を有したパイプです。
私が最初にこの手のパイプに出会ったのが、15年程前に購入したビック・ベンのストーンですが、この辺りからボチボチ極太のフィルターを装着するパイプが出始めたのでは無いでしょうか。

フィルターはチャコールと、バルサの2種類になるかと思います。
使用した感想としては、多少味わいがマイルドになるかもしれませんが、吸湿性や吸い込みの安定感、使いやすさを考えると、9mmチャコールフィルターが最も優れていると思います。
バルサも試してみましたが、味わいの変化と言う面では、チャコールより多少良いと思われますが、吸湿性は劣ると思います。
又、チャコールはフィルターの前後に開けられた穴に煙を通すので、ガッチリ装着しても空気の流入はスムースなのに対し、バルサはフィルターと煙道の隙間に煙を通す構造の為、バルサフィルターの長さの調節を誤り、ピッタリの長さで装着すると、チャンバー側とマウスピース側の煙道(太さ3mm)をフィルターで塞いでしまい、マッタク煙が通らない状態となります。
どうやら、取扱いの簡便さ、扱い易さから見ると、チャコールフィルターに軍配が上がりそうです。
そして、6mmと9mmの違いですが、通気性とジュースの吸収性共に、太い9mmの方が優れていると感じました。


以上、ざっとジュースとフィルターについて触れたのですが、このジュース対策、及びフィルターについてを考える時、明確に判断基準を二つに分ける必要があると考えております。
その一つは、パイプ喫煙に「吸いやすさ、気軽さ」を求める視点で、今一つは「喫煙技術の向上、タバコの味わいの追及」と言った視点になると思います。
パイプ喫煙のスタイルは人それぞれなので、一概には決め付けられませんが、気軽に、軽い喫味の物を求める人には、機能性パイプや9mmフィルターは強い味方となってくれると思います。
反面、パイプ喫煙にこだわりを求める人。
技術にこだわる、タバコにこだわる、パイプにこだわる、そう言った人には、ノンフィルターが合うのではないかと思います。
クール&ドライスモーキングの対策の所で書きましたが、クールスモーキングも、ドライスモーキングも共に、喫煙の技術でカバーできる事なのです。
別の切り口で見てみますと、ノンフィルターによる、クール&ドライスモーキングは、パイプ喫煙が上手に行われているか否かの、目安、指標になると言って良いでしょう。

次にパイプタバコの味わいに関してですが、「煙が、よりスムーズに入って来る方が、タバコが美味しく味わえる」と言う意見を耳にします。
ここで、またまた葉巻を例に取ってみますが、タバコの最高峰と言われているハンドメイドシガーですが、これの優れている所の一つは、タバコの葉を裁断しないで、葉っぱの形のままハンドメイドで巻き上げている所にあります。
その結果、火種の部分で発生したタバコの煙、香り、旨味は、葉の流れに沿うように、ストレートに口の中に入って来る事になるのですが、そのスムースな煙の流れが、マシンメイドシガーでは味わう事のできない、よりピュアで上質なタバコの旨味を生み出すと言う方もいらっしゃいます。
そしてこれは、パイプにも当てはまる事であろうかと思います。
紙面の関係上、パイプによるタバコの味わいの違いについては、第四部にゆずり、ここではこれ以上突っ込む事はいたしませんが、とにかく、パイプに装着するフィルターはその構造上、全て煙の流れを阻害する要因にしかなりえない事を考えると、タバコ本来の持つ旨味を、より美味しく味わいたい、タバコの味わいにこだわりたいと言うのであれば、ノンフィルターの喫煙の方が望ましいと考えられます。
又さらに付け加えますと、パイプ内で煙の流れが阻害されればされる程、ジュースの発生量は増えるとも言われております。
最後にパイプのこだわりですが、美味しくパイプ喫煙する為には、使ったパイプは掃除をし、充分休ませて、しっかりと乾燥させる事が大切だと言う事が、パイプ喫煙では常識となっております。
パイプの本などで、ダンヒルやボーノルトの七曜パイプセットを見る事がありますが、これ等は、使ったパイプを一週間休ませる事になり、非常に理想的なパイプ喫煙が出来そうに思えます。
そしてこう言った、美味しく喫煙する為のパイプの扱いも、フィルターを装着した喫煙より、ノンフィルターでの喫煙の方が、より分かりやすいと考えられます。

以上結構はしょって書いた訳ですが、こだわりをもってパイプ喫煙して行きたいと言うのであれば、基本的な所は、キチンと押さえておく必要があると考えています。
そして、そのパイプ喫煙の基本を押さえる様にする為には、ノンフィルターでの喫煙をしながら、煙や味わい、パイプ等に相談しながら学んで行くのが、もっとも近道なのではないかと考えております。

作者から
今回、パイプ喫煙に関する非常に重要なテーマを扱われております。(毎回ですよね!)
ロペスさんの考察はパイプタバコを喫う者にとって、全くその通りだと思っております。私自身フィルター等は使いませんが、世界的なパイプ界の潮流としてフィルター使用の方向に向かっております。
最近発売されるメーカー製の限定パイプ等も、なぜかチャコールフィルター仕様が多いです。
2002年末には、ツゲE-system、ピーターソンシステムと9mmチャコールフィルターの最強コンビとも思われるパイプも登場します。
何故でしょうか?パイプ界の方々のご批判は覚悟の上ですが、
パイプタバコから簡便な紙巻タバコへと変貌して行ったように、人間はより楽な方向へ向かいます。
紙巻と違い、タバコ本来の味を堪能できるパイプタバコを、より楽に楽しめる事はすばらしいことではないでしょうか?このすばらしさをもっと多くの方に理解してもらい、楽しんでもらいたい。
そういう願いをもって、機能性パイプ、フィルターパイプは進化し続けているのだと思います。
パイプ喫煙はステップが必要です。いきなり熟練者と同じように楽しめるものではありませんし、長年パイプタバコを喫っていらっしゃっても同じ趣向を持つわけでもありません。
ロペスさんも書いておられるように、人それぞれの楽しみ方があっていいと思います。
皆さんも、当サイトを参考にして、自分なりの楽しみ方を見つけてください。
 ロペスさんへ くだらない口出しをして申し訳ありませんでした。

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