28-2 2003年限定タバコ Part1

2004年3月1日号


さて毎年恒例の限定タバコのテイスティングであるが、今回は限定タバコの数が多すぎる。
全部合わせると五銘柄の600gで、通常の50gタバコに換算すると12個になる、おいそれと吸い切れる量ではない。
そんな訳で今回は半数の二銘柄三種のタバコの紹介に留める。
銘柄は、初体験のコールハス、中々面白いタバコが揃っている。

コールハス

コールハス、どうやらドイツのタバコ製造会社らしい。
現在タバコ製造に関しては、かなり再編が行なわれている様で、ポッシェル社のホームページを見てもわかるが、ドイツに製造委託しているブランドは結構な数になっている。
レビューサイトで調べると、日本に輸入されているコールハスブランドは「カロライナローズ」位であるのだが、しかし実際はもっと多くのブランドを製造していると睨んでいる。
私が知っているコールハス製造のブランドは2つ、それはラットレイとBBB。
この2銘柄は、スコットランドとイギリスを代表するタバコなので、昔の製造は違っていただろうと思うが、ここ最近のラットレイとBBBは、メイドインEUになっている。
又、缶に入っているシートだが、以前は無地の丸い厚紙だったのが、現在はコールハス社の物になっている。
そして、こう言った製造委託の構造が幸いしているのか、ドイツタバコのブレンド技術は年々上がっている様に感じる。
「パイプ物語」にアップしている最近のテイスティングの傾向を見れば分かると思うが、ここ数ヶ月私はドイツタバコを中心にティスティングしているが、その中で進歩したなと感じるブレンド技術が二つある。
それが今回のテイスティングタバコに使われているので、紹介して行こう。


コールハス・パイプ66

製造国 ジャマニー
内容量 100g
価格 \2800
 

 
暗い茶色のヴァージニアフレイクと、少々太めにカットされたブラックキャベンディシュ、粗めに千切った様なイエローに近いヴァージニアのミックスチャー。
ブレンドの割合はブラックキャベンディッシュを中心に、ヴァージニア、少量のブロークンフレークと言ったところだろう。
トップフレーバーは一瞬「香水系かな」と思わせるものがあるが、ジックリ観察してみると、紅茶様の香りに酸味の強めの柑橘類の香りに感じる。
しかしこのタバコ、名前が「パイプ66」、缶には一切の表記が無く、缶の中にも説明文は愚か紙片すらない、また限定物の性であるが「タバコ・レビュー」にも紹介されていないので、テイスティングするにおいて、取り付く島も無いタバコである。
従って、葉組みとティンノートのみでの、手探りのティスティングとなる。
考えていても始まらないので、兎に角ミディアムサイズのパイプに詰めて着火。
紅茶っぽい香が結構強めに立ち上がる。
しかし香だけのタバコかと言うとそうでもない。
それはブレンドを見ればある程度想像できる事であるが、バーレー系が使用されていない事である。
このタバコは最近のドイツ物に良く見られるブラックキャベンディッシュを中心にし、トップフレーバーを立たせたブレンドではあるが、強めのケーシング処理を施したヴァージニアが、甘酸っぱい一味を加えている様だ。
そしてそのヴァージニアの甘酸っぱさだが、紅茶様のフレーバーと上手く絡んで、レモネード紅茶の様な味わいになっている。
一昔前のドイツ物と言えば、ケーシングの強いヴァージニアに、強めのトップフレーバーと、くどい甘さのゴテゴテとした味わいのタバコと言った感があったが、これは癖の無いブラックキャベンディッシュを中心に据え、強めの着香、そして味わいの隙間を埋める程度のヴァージニアと、中々考えられているブレンドで、味わいも香もしっかりとしていて、バランスの良いタバコに仕上がっている。
これがコールハス66に良く現れている、最近のドイツタバコに見られる特徴の一つである。
それはブラックキャベンディッシュを中心にしたブレンドの組み立てで、これは今迄の、「ヴァージニアを中心にしたブレンドの模倣」からの脱却ではないかとも考えている。
どうも、トップフレーバーに特徴のあるドイツタバコには、ヴァージニアよりブラックキャベンディッシュの方が相性が良い様である。

コールハス・クリスマスツリー

製造国 ジャマニー
内容量 100g+100g
価格  6000円
 

 
クリスマスツリーが描かれた本の様な箱、コレクターズアイテムに最適な外見である。
中身はブレンド内容が記された半透明のシートが一枚、赤い紙製の断衝材の中にはめ込まれる形で金色の四角い袋に入ったタバコが二つ。
外見は全く同じ袋ではあるが、1と2の数字が書かれた袋を止める為のシールが、ブレンドの区別をつけている。
このコールハスのクリスマスツリー、どうやら同一のコンセプトによって作られたものであるようだ
その共通したテーマとは「クリスマスケーキ」
bPはフルーツケーキ、bQはチョコレートケーキをイメージし、フレーバーを中心にしバリエーションを出している。
ここに最近のドイツ物で良く見られるもう一つのブレンド技術の特徴がある。
それは熟成バーレー。
通常バーレーは着香目的で使われることが多い。
又、スモークイン東京Part3でも紹介したが、もともとバーレーの着香はタバコの辛さを押さえる為にも使われているのである。
しかし最近のドイツ物やアメリカ物には、無着香で熟成させたバーレーがブレンドに使われている。
熟成されたバーレーは、ヴァージニアの様な甘味や、トロリとしたキメの細かい煙と言った雰囲気は無いものの、甘さの無い落ち着いたナッティーとも呼べる香ばしさと、煙の刺激感がある。
そればかりではなく、ジックリ塾生されたバーレーは刺激もそこそこ穏やかで、シガーフレーバーを連想する様なコクさえ感じる。
確かに原料がバーレーであるので、煙の粒子の粗さや、終盤の喫味の崩れ易さは有ると思うが、この甘さの無い粗い粒子の煙は、ヴァージニア独特の甘さと煙のベタ付きを押さえ、ドライで切れの良いベースタバコを演出する。
何度も書くがドイツ物のヴァージニアは結構味わいの強い甘酸っぱい物が多いが、これが意外とトップフレーバーの邪魔になる。
ともするとトップフレーバーとベースタバコの味わいが喧嘩しゴテゴテの味わいになるのだが、熟成バーレーを入れる事により、ベースタバコが落ち着いて乾いた感じの喫味になる為、トップフレーバーが素直に出てくると言った趣である。
どちらのブレンドも、ヴァージニア・ブラックキャベンディッシュ・バーレーがバランス良く配合されていて、若干のブレンドの違いはあると思うが、フレーバーの良く立ったタバコである。
勿論、熟成バーレーにトップフレーバーなので、肺喫煙にも十分対応できるタバコである。

No.1

ジェトブラックキャベンディッシュ、サンイエローヴァージニア、ナッティーなバーレーフレーク。
そこに薫り高いピーチ、ブルーベリーそしてバーボンバニラのフレーバー。
かなり凝ったフレーバーのタバコであるが、その分ベースタバコの作りは非常にベーシックと言ったところだろう。
もともとブラックキャベンディッシュは、フルーツやバニラと言ったトーンの高いフレーバーとは相性が良い。
従ってbPのベースタバコは、コールハスのスタンダードな着香タバコに使われているもの、そのままではないかと想像する。
このタバコを一言で表現するとフルーツケーキ、複雑なトップフレーバーを十分に際立たせたブレンドである。

No.2

二種類のブラキャベとサンイエローとオレンジのヴァージニアに、ナッティーなバーレーのブレンド。
トッピングには、チョコレート、クルミとドライフルーツ。
着香物のタバコでは、ココア、チョコレート系はスタンダードなフレーバーである。
しかし現実のチョコフレーバータバコは、そう言われればそんな感じがしないでもない、程度のタバコが多いのも事実である。
その理由はチョコフレーバーが、意外とトーンの低い所に特徴を持った香だからではないかと思っている。
チョコやココアで感じる独特なコクは、フルーツに見られる酸味や、尖った感じの甘味とは違い、ブラックキャベンディッシュや、ヴァージニアの味に邪魔されると、気の抜けた甘味と、人工的なフレーバーだけが目立つものに成りかねない。
従ってこのクリスマスツリーbQは、チョコフレーバーを立たせる為に、bPよりさらに甘味や味わいのトーンを落としたベースタバコになっている。
ブレンドを見れば分かる通り、ブラックキャベンディッシュもヴァージニアも、2種類使われている。
まあ、偉そうな口調でこのブレンドを紹介すると、甘味を押さえトーンの低いベースタバコが、チョコフレーバーの中域を補完し、ドライフルーツが甘さを付け加え、クルミがチョコ独特のコッテリした脂肪感を演出している。
こんな感じになるだろうか。
大層なご高説はこの位にするとしても、このクリスマスツリーbQ、チョコレートフレーバーのタバコとしては、トップクラスのブレンドであると言うのが偽らざる感想である。

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