26-1 スモークイン東京 Part1

2003年10月2日号


 第4部に引き続き、2回連続でのスモークインネタで、少々手抜きの感も否めないが、まあご愛嬌と言った所でご容赦いただきたい。
目的は「2003 ジャパンパイプワールド」、今回の開催地は東京、前回の静岡に比べれば旅程は随分と楽である。
しかも、会場は高輪プリンス、以前通勤していた頃の職場とは目と鼻の先で、勝手がわかっているのも有り難い。早速ですが、前後の旅程は割愛して、いきなり本題に入って行きたいと思います。

品川の駅に着いたのは、お昼少し前であった。
数年前に改築された、明るくて巨大な駅を早足で過ぎ、高輪口の階段を降りる、しかし仙台に比べると東京は随分と暑い。
とり合えず、避暑を兼ねて早めの昼食、お店は以前時々お世話になった「つばめグリル」。
落ち着いた雰囲気のグリルで、ハンブルグステーキや、アイスバイン等、そこそこのお値段でチャンとした洋食が食べられる、庶民的な贅沢を味わえるお店と言った所だ。
今日は少々気取って、子羊のグリルなるものを注文したが、程なくしてトマトのファルシーが運ばれて来た。
「確か、ランチの時間帯には、食事にこれが付くのだったな」しばらく来て無いせいか、こんな事も忘れている。
久しぶりの味を堪能した後、パイプにタバコを準備して、食後のコーヒーである。
早速「つばめグリル」を出て、高輪口出口の角にある、小さなオープンカフェ「セガフレード・ザネッティ」まで戻る。
どうも私はここのエスプレッソが好きだ。
かなり強めのトロリとしたコーヒーで、ただでさえ小さなデミタスカップに、半分程しか入ってはいないのだが、そこに凝縮された香りと味わいは、中々他では味わえない、品川駅に来た折には外せないお店である。
早速パイプに火を入れてコーヒーと合わせてみる。
タバコはパイプワールドの為に奮発してあつらえた「ディープホロー」、マクレーランド特有の濃厚なヴァージニアと、微着香されたバニラ風の甘さが、極めて強いコーヒー感を受け止めてくれる。
「ん〜、こりゃ当たりだな」思わぬ収穫に一人ほくそえみながら、チビリチビリとタバコとコーヒーを楽しんで、ようやくパイプワールドの会場に向かった。

品川駅前(高輪口)は高級ホテルが林立しているが、高輪プリンスはその最も奥まった所に位置している。
駅正面に位置する「柘榴(ざくろ)坂」を挟み、左手に品川プリンス、右手にホテルパシフィック、その上、柘榴坂をしばらく登った所に新高輪プリンスがあり、さらに新高輪プリンスの奥に高輪プリンスがある。
坂に面した新高輪プリンスからは、プリンスホテルの庭を通って会場に行く事になるのだが、屋根付きの通路の両側には、茶室あり、池有り、山門有り。
そして何より、外界から庭を隔離するのには充分な木々の量がある、都会の喧騒も無く、木漏れ日の中で、小鳥のさえずりが聞こえて来そうな空間が広がっている。
しばらく歩いてホテルの玄関近くまで来ると、右手には芝生と、陽光に光鱗の如くきらめく、清憐な水を湛えたプールがあり、絵に書いた様な贅沢な作りである、流石は創立50周年記念だけの事はある、随分と気張ったものである。


今回のパイプワールドは13日(土曜日)、14日(日曜日)の二日間。
初日は、前夜祭と称し「日本パイプクラブ連盟(PCJ)の創立30周年記念祝賀会」が催され、2日目が「第30回全日本パイプスモーキング選手権大会」となっている。
私が訪れたのは初日の土曜日であるが、これには大きな理由がある。
しかしそれは、二日目に行なわれる、スモーキングコンテストに参加してコテンパンにされるのが嫌だと言う事では決して無い。
まあ、半分位はそれもあるが、今回の目玉はレクチャーである。
内容は、PCJ理事長 鈴木達也氏による「日本は世界3番目のパイプ喫煙国〜喫煙とパイプ(キセル)の伝来〜」と、たばこブレンダー 堀之内正氏による「パイプたばこ ブレンドの実際」、会場は高輪プリンスホテル 冨貴の間となっている。
前回の「スモークイン静岡」が、パイプワールドのザッとした説明だったのに対し、「スモークイン東京」は、このレクチャーを中心に据える事にした、その方がネタ的には良い、などと悪知恵を働かせた訳である。
と言った事なので、会場説明はを簡単に済ませた後、レクチャーを掻い摘んで紹介して行く事に致しましょう。

パイプワールドの会場は地下一階のクラウンルーム、ホテルのフロントを背に、ラウンジを歩いて行く事数十歩、フロント側に向かって幅の広い階段が降りている。
階段を降りた所のフロアーには数本のイーゼル(野外で絵画を書く時、キャンパスを乗せる三脚の用な物)に、催し物の看板が飾られている、小洒落た雰囲気で好感度は中々である。
そして、いきなりではあるが、フロアーの左壁半分近くを使って、パイプタバコ缶の展示がされている。
静岡パイプ倶楽部の会員の蒐集だと言う事であるが、その数は数百にも上る、国内未輸入銘柄や、製造中止銘柄も含まれている様だ、勿論ダンヒルも旧ロゴタイプの缶が揃っていて、中々壮観なものであった。
ただ保存状況の問題なのか、展示は缶のみであったので、次回はパウチ、紙のボックス等も展示対象にならないものかと期待している。
このタバコ缶展示の反対側のフロアーは、ソファーとテーブルが何台も置いてあるユッタリとした休憩スペースになっている。
その休憩スペースの手前には、エジプトから到来の本格的な水パイプを体験する試し喫いコーナーがあり、甘い香りを漂わせながら、民族衣装をまとった綺麗なお姉さんが、一輪の花を添えていた。

肝心のクラウンルームはと言うと、ブースは前回と同様の顔ぶれだが、日本の作家物のパイプが、人気・展示割合共に元気が良い様子であった。
新しく増えた所は、楽煙堂(JTビル1F)・連盟ぱいぷ誌の変遷の展示・そのぱいぷ誌に「ホームズとタバコ」の記事を掲載していらっしゃる田中氏のブース、喫煙具のラ・ピエールさん。
そして、少々異色だったのがガラムを取り扱っている昇陽物産のブース、ここではパイプ用にリキュール着香を施したガラムを戴いた、久しぶりの味である、やや刻みは細いが悪く無い。
会場を一回りした所で、事前に電話で約束をしていた作者さん、ネット仲間達と合流し、先ほどのフロアーの休憩スペースに向かう。

こう言った催し物の、もう一つの楽しみはオフ会である。
パイプ喫煙人口の少ない事もあり、日頃はパイプ喫煙の話などする相手もいない現状であるが、オフ会ともなると全員パイプ愛好家だ、話したい事は山ほどある、話に花が咲くのにさほど時間は掛からない。
私はと言うと、パイプ仲間から「カプスタン・マイルド(黄色缶)」を一枚もらって味見をしている。
確か、「カプスタン・ネービーカット(水色缶)」は昔輸入されていたが、黄色缶の方は未輸入だった記憶がある、オフ会ではこの様に珍しいタバコが拝めるのも、定番の楽しみである。
そうこうしている内に、パイプ作家の有田氏、宮坂氏が休憩しにいらっしゃった。
有田氏は改めて書くまでも無いが、アリをトレードマークにしているパイプ作家で、新作が有名小売店のブースに展示してある、昨年に比べシェイプのバリエーションも本数もパワーアップしている。
宮坂氏の方は、LS安藤さんのサイトのみの販売であるが、ゴイサギをトレードマークにした若手の作家で、丁寧に作りこまれたパイプに好感がもてる。
実は「スモークイン静岡」で、趣味で作っている自作のパイプを見せてもらった事を書いているが、それがプロデビュー直前の宮坂氏であった事は、ここだけの話である。
早速お二人の所へ行き、パイプの話なんぞをする。
最近日本のハンドメイドパイプが元気の良い事、若いパイプ作家が出てきた事など、パイプを燻らせながらつらつらとお話ししていると、有田氏が不意に視線を休憩スペースの端っこに移され、「あそこに私が出てますよ」と、巨大なモニターを示された。
そこには有田氏の町田の工房が映し出され、パイプ製作について語っていらっしゃた。
そう言えば、クラウンルーム(パイプワールドの会場)にモニターは無かった。
昨年各ブースのど真ん中に鎮座し、パイプ関係の映像を流し続けていたモニターは、今回はフロアーの休憩スペースの両端に移されていて、パイプを片手にくつろいだ形で、鑑賞が出来る使用になっていた。
さすがにパイプワールドの2回目の開催だけあって、各店のブース、モニター鑑賞用の休憩スペース、水パイプの体験コーナー等と、その用途別にスペース分けがなされていて、勝手が随分よくなった印象である。
さらにクラウンルームでは、飲み物を頼めるコーナーも準備されていたのだが、どうやらこれはアルコール中心だった様で、私には少々縁の無い物であった。
そうこうしていると、時刻は2時半に近づき、館内放送で「日本は世界3番目のパイプ喫煙国〜喫煙とパイプ(キセル)の伝来〜」の案内が流れた。
そろそろかと、おもむろにソファーから立ち上がり「では私はレクチャーに参加しますので、ここで失礼いたします」と皆に挨拶し、富貴の間に足を向けた。


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作者注:写真は許可を得て掲載いたしました。

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