11-1 香りを楽しむ |
2002年2月1日号 |
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タバコの香りを楽しむ、これは非常に大切なものであると私は考えている。 これについては某葉巻サイトにおいて、直木賞作家の知識人、藤本義一氏がこのように語っている。 「「煙」「香り」「味」からなるたばこは、嗜好品として最高だと思います。この中のどの1つが欠けてもたばこは旨くありません。そして、これらは、人間の感覚、すなわち五感を楽しく刺激するところに妙味があります。」 そして、パイプタバコの味わい方の第二段「香りを楽しむ」では、ここまで深い含蓄を感じさせる説明は到底無理だとはしても、少しでもパイプタバコの香りの片鱗等を、感じ取れる様に書いて行きたいと思います。 |
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まず最初に、私見ではありますが、このタバコの香りについては、パイプ喫煙がもっとも得意としている所ではないかと思います。 その根拠の一つに、パイプタバコに使われている香料の多彩さが挙げられる。 確かにシガレットにも、フレーバーシガ−と呼ばれている葉巻にも、様々な香料は使われていますが、パイプタバコに添加されている香料の多彩さは群を抜いていると言って良い。 使われている香料については紙面の関係上割愛させていただくが、これらの着香タバコは、非常に分かりやすい味わいで、それぞれがハッキリとした個性を持っているので、それは袋、又は缶を開けた時から、容易に楽しむ事ができる。 そして、パイプを始めたばかりのスモーカーでも楽しめるこの香りであるが、持論としては3つのタイプに分類できるのではないかと考えている。 |
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まず第一番目として、その香りに原形を持つグループである。 |
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第二番目には、イギリスタイプのタバコの様に、嗜好品であるタバコその物の味わいを楽しむグループが挙げられる。 ただし、この第二グループのタバコは、その味わいや香りに原形が存在しない上に、タバコ感や喫味が強いものが多い。 だからパイプ喫煙の経験が浅い人にとって、わかりにくい味わいであり、吸いづらいタバコとなる、このあたりがイギリスタイプが上級者向けと言われる所以であろう。 |
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最後に第三番目のグループを紹介するが、これは香料がパイプタバコをより美味しく、吸い易くする為に用いられている着香である。 この手のタバコはヨーロッパタイプに多く、良質でアロマやボディーが強い葉タバコをふんだんに使うイギリスタイプや、着香を楽しませるタバコとは違い、軽めではあるが、しっかりとしたタバコ感を持つ葉タバコに、甘みや酸味等を香料によって補う事により、より吸いやすくい、わかりやすい味わいにしている様に感じられるものである。 |
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前フリがかなり長くなってしまったが、そろそろ本題に入ろうと思う。 |
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このパイプ喫煙独特の「燻らす(くゆらす)」や、「低温燃焼」については後述に譲るとして、パイプの香りを、私がどのように楽しんでいるかを書いてみよう。 ここで再び、前述の藤本義一氏が、タバコの味わいについて書いているコメントを、紹介させていただく。 「まず、味覚です。舌の上、上顎の裏、喉に刺激を与えます。特に口から鼻に抜ける時の刺激がいいように思えます。味は口からというのが常識ですが、たばこは、鼻の孔の薄い膜でも味わう唯一のものだと思っています。」ここで注目したいのが「口から鼻に抜ける時の」と言う部分です。 通常香りと言うと、花の香りを嗅ぐと言ったイメージが強いのですが、タバコには口から鼻に抜けていく香りと言うものがあります。 これを、もう少し分かりやすく言うと、香り高いコーヒーを口に含んだ時に口から鼻に抜けてゆく香りと言ったら一番近いでしょうか。 ただし、口から鼻に抜けると言っても、何処かのボイラ−のCMの様に、鼻から煙をブンブン吐きだすのは関心しません。 煙を肺に吸い込む場合は、煙もかなり薄くなるのでそうでもありませんが、口に含んだ煙の場合は、濃度も刺激も結構強いので、あまり濃い煙を鼻から抜くと、香りを楽しむ前に煙の刺激が出て来てしまいます。 そして、鼻からの煙出しをやり過ぎると、パイプ初心者の頃、私が失敗した様に、鼻の粘膜を痛めかねません。 私はその昔、下手な喫煙をして鼻の粘膜を痛めてしまい、一週間以上に渡り、どんなタバコを吸っても皆同じ「きな臭い」様な味わいしか感じる事が出来なくなると言う、経験をした事がありますが、その当時は随分歯がゆい思いをしたものです。 では、香りを楽しむ為には、どの様な味い方をすれば良いのか。 それは煙を鼻から抜くと言う感覚ではなくて、香りを鼻から抜くと言う、感じの方が近いと思う。 私の場合口に含んだ煙を吐き出すのに、肺喫煙の時の様に息を吐く事はしない。 私の口腔内喫煙での煙の吐き出し方は、口に含んだ煙を、丁度チューブをお尻から摘まんでしぼり出す時の様に、舌と口を使い煙をしぼり出しています。 そしてあらかた煙を絞り出した後、口に残った残り香を鼻から抜く、こんな感じの味わい方をしています。 こうすれば鼻の粘膜を痛める様な事はありませんし、煙の刺激が無いので、微妙な香りや味わいまで感じる事が出来る様に思います。 又この吸い方だと、口から煙を吐き出す時に、鼻で普通に呼吸している為、パイプの香りのもう一つ、まさに口から吐き出された煙の香りを楽しむ事も、同時に出来ます。 そしてついこの間、パイプ作家である有田静生氏より、また一つ変わった香りの楽しみ方を教えていただきました。(有田氏ホームページ) 氏は「吹き戻しによってボウルトップから立ち上る、主流煙と副流煙の混合された煙と言いますか、この香りにも注目しております、それは喫煙の後半になるに従い美味しさを増す様に感じられ、この鼻から入って来る、僅かな吹き戻しの香りは、私に幸福感をもたらしてくれます。」と語っていらっしゃいましたが、この楽しみ方は私にとって、盲点になっていました。 確かに、吹き戻しの技術はパイプならではであるし、パイプ喫煙になれて来ると、吹き戻しの煙はかなりの割合になって来る。 ですから、口から吐き出す煙の香り、口から鼻に抜ける香りと共に、この吹き戻しの煙の香りを楽しむ事も、パイプ喫煙の理に適っていると思った次第です。 最後に付け加えておきますが、長々と書いて来た、香りの楽しみ方ですが、上手に香りを楽しむ為には、ある程度の喫煙技術が必要であると考えています。 しかし、口から鼻に抜ける時の香り、口から吐き出された煙の香り、さらにパイプから立ち上る煙、これらの煙をまるで体にまとわりつける様にパイプを燻らせた時、パイプは喫煙技術の習得に費やした苦労以上の喜びを、貴方にもたらしてくれるでしょう。 |
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