不定期発行
5月03日号

原作 ルイ・ロペス
作画&管理 店主


エナーデール
製造国 イングランド
湖水地方
形状 角缶
内容量 50g
価格 1,650円
カタログには、下記の通りかなり詳しい解説がされている。
実に珍しいフェンネル(ウイキョウ)の香りです。
ラム酒でケージングされたたばこの古典的なフレイクです。世界各地の上質なヴァージニアをベースに、10%の自然乾燥のマラウイのヴァージニアと、4%のマラウイのバーレーが加えられています。アーモンドのバックグランドの香味は、フルーツ、バニラ等のアロマと拡散されていきます。着火と同時に、紅茶のアールグレイの強い香りが鼻腔に広がり、爽やかな甘みが口腔内に残ります。

さてこのエナデール、着香も強めだが、さらに強烈な一面をもっている。
それがウイキョウ、英名ではフェンネル。
その正体はハーブであり、ローマ時代から料理などに多用されてきた食材である。
しかしこのハーブ、今だ日本人には馴染みの薄い存在だ。
和食中心のお年寄り等にとって、強いハーブ香はまだまだ違和感のある食材だと思う。
それだけに表現の難しいタバコである。
ヨーロッパ人であればフェンネル風味と言えば、すぐに理解できるだろうが、日本人が聞いてもチンプンカンプン、まったくティスティングし辛い。
上記のカタログ評には様々な味わいが記されているが、香水様の香り(たぶんウイキョウ)が前面に出てくる為、細かな香りまで判別するのは至難の業である。
取り合えずと言う事で、エナデールの全体評「アールグレイ」を調べてみたが、紅茶にベルガモット(柑橘類)で着香したものとなっている。
そして謎は、さらに深まる。
とにかく、「目の青い人たち」が喜んで吸うタバコと言う事で間違いないだろう。
ただし女性からは「お香のようだ」との評を戴いているので、ルームノートはそれほど嫌われるものでもないだろう。
そんないきさつで「お香系のタバコ」にスポットを当ててティスティングして行こう。

ところでお香系の香り、どうも私の記憶の中で引っかかる味わいである。
色々と思考をめぐらした結果、とあるタバコに行き着いた。
それがミクスチャーNo79、アメリカの代表的なタバコである。
このミクスチャーbV9シリーズ、特にメンソールが良く似ていて、パイプ物語のティスティングでは、「古い京都のお寺風な香り」と表現している。
タバコ葉の形状に関しては「新聞紙をランダムに破った様な質感」と表現し、喫味に関しては、軽い割りには煙が荒く、喉への刺激「バーレーキック」が楽しめると紹介した。
もっともエナデールは、ヴァージニア中心のタバコなので、bV9に比べタバコの味わい・甘み、煙のなめらかさは圧倒的にこちらの方が上である。
しかし、bV9も歴史のあるタバコだ。
英国のエナデールを手本として、アメリカがbV9を作ったのか、アメリカを代表するタバコを模倣して、ガウィス・ホガースがエナデールが作ったのかは定かではない。
この他にもイギリスタバコに、アメリカの代表的なタバコに良くにたブレンドがあるが、これはサミュエル・ガースのティスティングになる為、ここでのネタばらしは遠慮しておく。
ともあれ、この後出てくるボブスチョコレートにしろ、アメリカンディライト、トップブラックチェリーにしろ、何処かアメリカ市場を狙ったと思われるアイテムが多い事は、偽らざるところである。

話が大幅に脱線したので、簡単なティスティングで締める事としよう。
タバコ葉はフレイクタイプで、他の2品(ラムフレイク・ボブスチョコレート)と同じ薄いスライスである。
タバコの色はラムフレイクと同等で、ややブラウンフレイクに近いダークブラウンの面持ちである。
「美味しいヴァージニアタバコを使っています」的な雰囲気は、ムンムンしている。
ラムフレイク同様、サミュエル・ガースのブラウンフレイクと同等のベースタバコを使っているのは間違いないと思うが、このフェンネルの香りが兎に角目立ちすぎる。
一言で表現すれば、パイプタバコ界の「杏仁豆腐」。
あの漢方を思わせる独特の香りと、何処か通じるタバコである。
そう言えば国産の杏仁豆腐、原料に本物の杏仁霜は使わず、よく似た香りであるアーモンドの粉末を使っているとの事、カタログの解説とも一致する。
そんな訳でこのエナデール、「パイプ界の杏仁豆腐」と言うニックネームを付けて、ティスティングの締めと致します。

テイスティングノートでは、皆様のテイティング感想も掲載させて頂く予定です。
一銘柄ごとUP後に、当方までMailにてお寄せ下さい。
なお、不適当と思われるものは掲載をお断りする場合も御座いますので、予めご了承下さい。
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