32-1  タバコ葉の特性に対する一考察

2005年7月2日号


タバコの一考察と言っても、タバコ葉やブレンドの説明であっては面白くない。
それはカタログにでも任せておく事にして、徒然に書いて行こうと思う。
まず手始めに、テイスティングを試みる時、ブレンドの構成を考えるのに、分かり易いタバコ葉と、分かり難いタバコ葉と言う視点から書いてみよう。
こちらからの視点の方が、我々一般ピープルなパイプスモーカーからは、試しやすいし理解し易いと思う。

で、早速だが、分かり易いタバコの筆頭は、何と言ってもペリックであろう。
これはタバコの漬物と言われているもので、材料はバーレー、製造はルイジアナの一箇所のみである。
しかも、漬物になるほどの加工がされているので、品質的にも安定していると考えられる。
従ってペリックに関しては、どのブランド、どのブレンドであろうとも、全く同じタバコ葉を使用している。
又その使い方(ブレドに置ける位置付け)も、それほどバリエーションや差異はが有るとは思えない、まあテイスティングの際、最も当たりをつけ易い原料タバコと言えそうだ。

次に分かり易いのがラタキア、簡単に説明するとオリエントの薫製であるが、産地はキプロスとシリアの二箇所で、基本的にブレンドの際に、二次加工は行なわない様である。
もっとも、その使用目的は、ラタキアをメインにした使用方法や、ブレンドのアクセントとして加える微着香用等、使われ方に違いはあるが、原料葉としては二種類把握しておけば事足りる。
その上、シリア産の使用例は少ない様で、キプロス産がメインだと思っていれば良い。
このラタキアの特徴であるが、それぞれの特徴を熟知している訳では無いので、蛇足程度のコメントになるが、トーベンダンスクのブレンディングタバコを比較する限り、燻製の煙材が違う為かもしれないが、正露丸香といわれる薬くさい香りはキプロスが強く、シリアはやや正露丸香が弱く、酸味が立ってくる印象だ。
その正露丸香(ラタキア香)に比例する様に、原材料のオリエント感はシリアの方が強めに感じる。
従って、ブレンドにける繊細なラタキア香の際立ちは、キプロスの方が出し易く、大量のラタキアを使っても、味わいのバランスが取り易いのはシリアの様な印象である。
これをオリエントに言い換えると、キプロスは香り立ちに特徴のあるターキッシュ、シリアは、香りとアーシーな味わいとのバランスが取れている、バスマとなりそうである。
では、ブレンドの際に使いやすいのはと考えると、私はキプロスだと思う。
ラタキアの香り立ちがハッキリしている(オリエントなどの他の要素がやや弱い)ので、他のタバコとブレンドする事により、バリエーションが出しやすく、且つブレンド結果を計算し易いと思うからである。

 さて次に分かり易いタバコの紹介に移ろうかと思うが、問題は何を持って来るかだ。
まあ、最も複雑なタバコはヴァージニアである事は決めているので、それ以外となるが、香料を考えなければバーレー、産地を考えなければオリエント、ブランドを考えなければキャベンディッシュとなるだろう。
これは、それぞれの原料葉の特徴がそうさせるのであるが、バーレーの吸着性の良さとその使用目的。
オリエントのドメスティック性、ブラックキャベンディッシュの加工度合いの強さ(ブランドの特徴が出しやすく、その製造方法は各社の企業秘密であるらしい)この辺りに原因がある。

まあ、取り敢えずと言う事でバーレーから始めるが、その見た目は多孔質である。
この質感は、慣れれば結構わかるものである。
又、吸った感じも、タバコとしては軽い割には刺激が強い。
煙が粗いと表現しても良いが、咽の入口辺りに、独特のバーレーキックがある。
その使い方は、大まかに分けて3種類程ではないかと考えている。
まずは熟成の浅いバーレーを、着香材料としてタップリと香料を施してあるものと、今一つは、単純な加工処理を施しただけのバーレーを、喫味調整や(タバコを軽くし、シガレットに近づける??)、燃焼調整の為に加えられる物。
そして、もう一つの使いかたであるが、最近のブレンドの特徴ともいえる、熟成バーレーのブレンドである。
これは、ドイツ・アメリカの製造業者が多様しているようだが、ヴァージニアのベタ付き感や甘味を押さえたり、バーレーの熟成感を添加したりする事で、タバコの味わいをドライにしている、一言でいってコクがあるのに切れが有ると表現しても良いか、まあこんな使われ方をしていると思っている。


次にオリエントであるが、これの処理は空気乾燥のみで、2次加工もされないのがほとんどであると思うが、如何せんドメスティック色が強い。
これはタバコ葉の突然変異率の高さが原因だと思うが、それぞれの産地によってタバコの形状、色、味わい、香りが変化する。
香り・甘味重視ならターキッシュ、高級感とバランスならバスマ、アーシーな味わいなら何処と言った具合に、産地によりブレンドが決まり、原料葉の加工方法の違いはほとんど無いと考える。
肝心の味わいだが、煙の感じはヴァージニアの様なネットリ感や、滑らか感はないが、バーレーの様なキメの粗い煙ではない。
しかし、味わいの中高域に鋭さのある少し粗めの煙で、俗にアーシー(乾いた茶色い土)を連想させる甘さを持っている。
しかし、タバコとしては軽く、ヴァージニアの喫味調整や、香りの補完、同じオリエント系の燻製タバコ「ラタキア」の味わいの補完等、イングリッシュミクスチャーには欠かせない存在である。
しかし、これはあくまでも私見であるが、オリエント及び同系のラタキアは、肺喫煙にはあまり向いていないのではないかと感じている。
単に、私が「肺喫煙においては」好きではないだけの話であるが。

 さて、イングリッシュミクスチャー系のタバコに使われる原料の説明も一区切り付き、次に何かと軽視されがちなブラックキャベンディッシュ(以下BC)の話題になる訳だが、私はBCこそが、一番その企業の加工技術が出るタバコ原料だと思っている。
前述の繰り返しになるが、BC及び、その他のキャベンディッシュ処理もそうなのだが、どうやらその製造方法は企業秘密らしい。
今は製造委託の為、無くなってしまったが、アンフォラの特徴のあるBC、JTの日本版キャラメル的BC、最近元気の良いドイツ製では、ポッシェル等のゴテゴテ感のあるBC、同じドイツでもサッパリ系BCのフォンアイケン、ダンタバコのヨーグルとを連想させるBC、ヴァージニアを原料としていると言われている、ビュッテラのスウィートキャベンディッシュ等と、各社各様である。
しかも、BCは香りの強い原料タバコなので、そのブランドにおける着香タバコの顔にもなり兼ねない程、強い影響力を持つ。
上記の様に、各社各様の製造方法とキャラクターを持つBCであるが、そのキャラクターの強さとは裏腹に、煙の刺激は柔らかく、タバコ感も軽い。
多分、強い加工処理と熟成がそうさせると思うが、その煙は思ったより滑らかで、肺に吸い込んだ時の刺激も弱いが、香りの保存性は中々に強い。
着香タバコには、無くてはならない存在である。

 さて、これで最後になるが、タバコの骨格となる所のヴァージニアの番となった。
ここで、少し趣向を変えて本からの抜粋をしたいと思う。
内容は「ヨアキン・ヴェルダゲル」のタバコにおける4つの原則である。
A:タバコは強ければ強いほど、その煙はクールである。
B:同程度の強さなら、キザミが細かい方がより味がきつい。
C:手で触ってみて、乾いた感じのものの方が、湿った感じのものよりマイルドである。
D:多少の例外はあるが、概して色の明るいタバコの方が、色の濃いものよりマイルドである。
多分これは、ヴァージニアタバコを主に比較したものだと思うが、中々参考になる。
しかし実のところ、このヴァージニアがよく分からない。
もっとも、タバコのブレンドを生業としていないので、無理もないと思うところだが、まず主たる産地だけでも何箇所もある。
言わずと知れたヴァージニア州を中心とした米国産、インド産のマイソール、アフリカ産のジンバブエ、ザイール。
さらにタバコ自体、ブライトから、レモン、オレンジ、レッド、フル、等の種類の多さ、処理方法・熟成技術の多さも他を圧倒する。
で、各社によってケーシングの特徴もある様だし、それぞれがベースとなるレシピも持っている様だ。
さすがは、パイプタバコの歴史を担ってきたタバコ葉と言える訳だが、それだけに、おいそれと把握しきれる物では無い。
結果、各社、各ブランドのヴァージニアを主体とした「ベースタバコ」を見つける事が、テイスティングの骨格になった訳である。
もっとも、そのおかげで「それぞれの会社のタバコに対するコンセプト」の様なものが、おぼろげながら理解できる様になった事は確かであるが、タバコ一つを取ってみても、パイプ喫煙とは奥の深いものである。
まあ、それだけに面白さも奥が深いと言えるのであるが。
さて紙面も詰まってきたところで、次回は喫煙スタイルに対する一考察、これを予定して今回はお終いにしよう。

 次号 へ

目次へ戻る


トップページへ戻ります 1つ前にページへ戻ります メニューページへ

当サイトは、リンクフリーです。ただし、サイト構造を無視したリンクはご遠慮願います。
リンク先は、必ずトップページ http://www.lsando.com/でお願いします。
リンクしたら、「リンクさせたよー」のメールをお願いします。

未成年者の喫煙は禁じられています。
あなたの健康を損なうおそれがありますので、吸い過ぎに注意しましょう。
喫煙マナーを守りましょう。タバコのフィルターは自然界では分解しません。

ホームページ上の全てのファイルは、リビングショップ安藤(有)に帰属します。無断で、使用する事を禁じます。
L.S.A(リビングショップ安藤)ホームページ
Copyright (C) LivingShopAndo All Rights Reserved