31-1  パイプの特性に対する一考察

2005年2月10日号


パイプの特性に対する一考察を語るにあたり、私が何故「タバコの味わいの保存性」を考えるに至ったかの説明が必要である。
まずは、ここから始めてみよう。
きっかけは「果物の甘味の感じ方」である。
お正月の風物詩とも言えるコタツにミカンの図。
このミカンの味わいであるが、「甘く感じるのは糖度の高さだけが、その要因ではない」これである。
まあ、知っている人は知っているだろうが、静岡産のミカンは比較的酸味が強い。
スッパイのが苦手な人は、思わず口がすぼまる程度の酸味を持っている。
この様なミカンの場合、かなり糖度が高いものであっても、濃い味にはなるが、甘さはそれほど際立って来ない。
しかし、実際の糖度を調べてみると、甘い果物の代表と言って良いメロンや桃の糖度と同じである事も多い。
いや、むしろメロンよりも糖度の高いミカンもたまに見かける。
しかし、何故かメロンと比べると明らかに甘さが際立って来ない。
この原因になっているのが、ミカンの酸味である。
同じ糖度の果物であれば、酸味が少ないもの程、より甘さが際立つ、これが私の思考を「タバコの味わいの保存性」に導いた要因である。

そして、この「果物の甘さの感じ方」から考えを進めて言った結果、私が出した結論はこうである。
何故パイプによってタバコの味わいは変わるのか、それはパイプの物理的条件によって「味わいの構成要素の引き算」が行われるからである。
すなわち、引き算が強めに出てくる場合は、保存性の強い味わいが鮮明に感じられ、引き算が弱い場合は、複雑な味わいが演出される。
しかしその反面、トップフレーバーを中心とした、保存性の強い味わいの際立ちは押さえられる。
ミカンの例えで言えば、甘味のみを強めに出す為には、引き算を強めに出し、酸味を中心とした味わいの複雑さ・味わいの濃さを出す為には、引き算を弱めにすれば良いと言う事になる。
ただし、最初に断っておくが、パイプの味わいを邪魔する、煙に含まれる過剰な水分や、粗悪なパイプが持つパイプ自体の異臭は、「タバコの味わいにこだわるパイプ喫煙」における最低限の原則として捕え、最初に補足するのみに留め様と思う。

では最初に補足であるが、まあ異臭の混ざるパイプに関しては過去何回か書いてきたし、特に説明の要は無いと思うが、水分の吸収については改めてふれなければならない。
まあ、これには諸説あるかもしれないが、私は現在簡易乾燥BOXの中にパイプを保存しているが、1週間程掛けて十分に乾燥させたパイプでの喫煙が好きである。
タバコの味わいがカラッとしていると言うか、ベッタリしていない分、味わいにメリハリが効いている感じで、細かい味が分かり易いと思う。
たとえそれが日中用の格安パイプ(肺喫煙が主流)でも、数日間休ませておいた最初の一服目が一番旨いと感じる。
これは、パイプ喫煙になれていない時、後半の喫味が崩れるのも同じ理由かもしれないし、往年の誤ったパイプの常識との噂がある「パイプが旨いのは、半分まで」も、この過剰な水分が原因なのかもしれない。
とにかく、パイプ喫煙において煙に水分が多い事はあまりお勧めできない事である。


さて、一通り前置きも書いた事だし、そろそろ本題に移るが、さて何処から取り掛かるべきか思案のしどころである。
そう言えば、行きつけの煙草専門店の若旦那が、関西方面に行った時、老舗の煙草専門店のご主人に聞いた話を思い出した。
確か、内容はこんなものだった。
まず一つ目だが「着香タバコを楽しむには、小さめのパイプに、タバコを固く詰めて、強く吸って高温燃焼させると良い。」
二つ目が「マリンフレーク(ヴァージニアブレンド)を楽しむには、最低でもチャンバー径が25mm以上のパイプが必用」である。
私はこの真意が何処にあるのか、結構真面目に考えて来たが、それなりに結論は見つけたつもりだ。
もっとも、これについて考え、検証を続けた結果、このパイプタバコの味わいの保存性に行きついたのであるのだが。

まずは着香タバコの楽しみ方の傾向だが、タバコを高温で燃焼させる為の吸い方と言って良いと思う。
まあ、パイプに適した吸い方を選択できるベテランスモーカーには、当てはまらない部分もあるが、高温燃焼し易い条件を揃えている訳であるから、「タバコの味わいの引き算」は強めに働く、従ってトップフレーバーが味わい易くなる。
悪い表現を使えば、トップフレーバー以外の味わいの要素を「熱によりぶっ壊している」と言う事になるだろうか。
まあ、ここまで極端な吸い方をするのもどうかと思うが、しかしここに「パイプ」と「タバコの味わい」の相関関係が、良く表されていると思う。
まず、径の小さなチャンバーは、同じ調子でくゆらせた場合、多きなチャンバーに比べると燃焼温度は高くなりやすい。
タバコを硬く詰めた場合も、空気の通り道がそれだけ狭まるので、同じ効果を生み出す。

上記は燃焼温度による引き算であるが、その他にも引き算は色々と存在する。
これは、葉巻のサイトで言われている「葉巻はより太くて長い方が味わいがマイルドになる」と同じ原理だと考えている。
まず、長いパイプの方が引き算が強くでる。
さらに、ブライヤーの水分吸収力を考慮に入れたとき、カナディアン等の煙道が長い物の方が、マウスピースが長い物よりも引き算が強くでる。
又、ベントの度合いが大きくなる程、煙の流れを阻害するので、引き算が強くでる。
イメージ的な表現をすると、まずベースとなるのが、短めのストレートパイプで、煙道等の造りがユッタリとしたもの。
この様なパイプの場合だと、チャンバー内で発生した煙が、ダイレクトに口に入って来る、こんな感覚を受けるのだが、ここが引き算の出発点である。
そして出発点が10だとすると、パイプの物理的要素は、ここから序々に引き算をして行き、水分を除いて9にしたり、タバコ感や味わいを削って8にしたり、と言う事になるであろう。

さて、次はチャンバーの構造にも目を向けて行きたいと思うが、チャンバーの構造を決める要素は、大まかに言って三点、直径と深さとテーパーである。
紙面が詰まってき始めたので幾分端折って列記するが、まずチャンバーの深い物の方が、タバコ自体がフィルターの代わりになる為、喫煙当初の引き算が強くでる。
ただし、チャンバーが長いパイプで、トップフレーバーが強いタバコを吸った場合は「トップフレーバーの足し算」が行われる様な気がする。
と言うのも、チャンバーの長いパイプの喫煙当初は、上部で発生した煙がタバコの間を通って煙道に至る訳だが、この時、揮発性の高いトップフレーバーが煙にまとわり付くのでは無いかと感じるからだ。

さてここ迄は、味わいの引き算ばかりに目を向けて来ている訳だが、チャンバー径の太さがタバコの味わいを変えるのは、引き算ばかりでは無いと考えている。
これは常々考えていた、葉巻の太さが味わいを変える事と同じだと思うが、「葉巻は太くなるほど味わいがマイルドになり、細い程ビターになる」こう言われている理由がもう一つ判然としない。
もっとも円の面積は(円周率×半径)の二乗である、プリトス(直径10mm)に比べロスチャイルド(20mm)の面積は4倍にはなるので、同じ調子で喫煙すれば燃焼温度ははるかに低くなる。
これと同時に、葉巻・パイプの燃焼は真中から周りに向かって広がって行くわけだから、火種が広がる途中の煙は、煙の他に「空気を含んでいる」事になりはしないだろうか。
これが、細い葉巻の煙を濃くし、太い葉巻の煙を薄目にする、原因の一つと考えている。
更にもう一つ、燃焼面積の広さは、煙の発生の粗密を作り易くするのではないかと考えている。(煙がストライプ状に、まだらに発生する)
以前「細い葉巻は、ブランドのキャラクターが強くでて、太い葉巻はブレンドの構成要素が味わえる」と、聞いた事があるがパイプ喫煙においてもこれに近い感覚を持っている。
径の小さな物であると、ブレンドされたタバコの煙が一塊となり口の中に入ってくる。
径の大きな物で喫煙すると、ブレンドされたタバコ(ヴァージニアとバーレーとブラックキャベンディッシュ等)の煙が、混ざる事無く別々の煙となって口に入ってくる。
もう少し視覚的に表現すると、カットされたタバコ葉一つ一つから発生した煙が、混ざって固まりで入ってくるのが小さなチャンバーのパイプ。
煙の一本一本が、細い糸の束となって口に入ってくるのが、チャンバー径の大きなパイプ、こんなところである。
ここから更に、チャンバー形状による煙の流れの変化を考えると、テーパーのキツイパイプの場合、味わいが一塊となり強めに出やすい。
チャンバーが寸胴に近いパイプは、煙がユッタリとした感じでマイルドになり易いのではないかと考えている。

以上長々と書いて来たが、パイプがタバコの味わいに及ぼす影響は、基本的には「味わいの構成要素の引き算」であり、燃焼温度・水分吸収率・煙の阻害率(パイプ・チャンバーの長さとベント)・煙の発生とその流れ(チャンバー形状)、これらの要素をトータルし、尚且つ喫煙の仕方を考慮にいれておけば、おおよそ想像できるのではないかと思う。
ただし、ただしである、この期に及んで付け加えたいのが、タバコとブレンドの目指す所である。

味わいを目指しているタバコなのか、香り立ちを目指しているタバコなのか、それともバランス重視なのか。
はたまた、タバコ葉によって煙の重さや粗さ、使用目的まで変わって来るのであるから、これらも考慮にいれなければ、より充実したパイプ喫煙ライフは送れないと言うもの。
と言う事で、そろそろこの章も終わりにして、次章で「タバコ葉とブレンドについての考察」に、触れて行こうと思います。


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