第 五部 「パイプにまつわるエトセトラ」

2003年7月18日号

25-1 スモークイン大阪

久しぶりの出張である。
行く先は大阪、日程は三泊四日と結構まとまったものとなった。
仕事柄出歩く事が少なく、もっぱら仙台近郊でブラブラしている事が多いので、無理矢理終らせてしまった、「パイプ物語第4章」を引き継ぐ、スモークインネタに困っている時に舞い込んで来た話である。
もっとも観光目的で行く訳では無いので、スモークイン・ユニバーサルスタジオ等になる事はない。
しかし、移動距離は長く滞在日数もそこそこあるので、それなりの準備も必要である、ネタには事欠かない。
移動手段は新幹線、飛行機に比べれば時間は掛かるが、アクセスが良く、何と言っても喫煙可能な所は、パイプスモーカーにとっては魅力だ。

パイプ一本と、コーヒーの一杯もあれば、1〜2時間位はあっと言う間である。
ここで内情を暴露するが、今回の「パイプ物語」であるが、実は移動中の新幹線と、滞在先のビジネスホテルで下書きをした。
おかげで、行きは「ひかり」だったが、満席を避ける為帰りは「こだま」に乗るはめになる、やはり満席では、パイプは吸い辛い。

執筆に使用したのは「パーム」、ハンドヘルドコンピューターである。
とは言っても、一番グレードの低いクラス、まあ電子手帳と大差はない。
購入したのは「パイプ物語」をインターネットにアップする半年前、まだ私が品川に通勤していた頃の事である。
当時は神奈川から1時間半程掛けて通っていた。
経由地は横浜、さすがに横浜〜品川間の東海道線は、上げた手を降ろせ無い程の、まさに通勤地獄ではあったが、横浜〜海老名間の相鉄線は、高々30分チョイとは言え、始発駅、終着駅である、1本電車を遅らせれば余裕で座れる。
しかも行きと帰り合わせて1時間強、一週間で7時間あまりとなる、これを有効に使わない手は無い。
実際、帰りの電車内で、アタッシュケースを膝の上に乗せ、ノートパソコンを叩いているサラリーマンやOLも何度か見かけた。
そしてそんなある日、初老の男性が何かしら、手帳の様な物にしきりにペンを走らせている。
よくよく見るとハンドヘルドコンピューター、確かパームでは無かったと思うが中々使い勝手が良さそうだった。
早速購入し通勤時間を有効利用する運びとなった訳だが、主に活躍したのがメモ帳。
1つの文章に2000文字まで入力できて、カテゴリーは15個。
一つのカテゴリーに、文章が幾つまで入るのかは失念してしまったが、現在「パイプタバコのテイスティング」のカテゴリーには67文章が登録されている。
そして、この15のカテゴリーの一つが「パイプ物語」になるが、文章数は30程度になっている。
書き方としては、最初に大まかな流れに沿って書くべき項目を幾つか決めておく、そしてそれに合わせ項目だけの文章を幾つか作り、物語の進展状況に合わせたり、気の赴くままだったりではあるが、順次内容を埋めて行き、そうやって粗書きされた文章を「パイプ物語」のタタキとすると言った手法を使った。
まあ、見様見真似での執筆であったが、立ったままで書いて良し、寝そべっても良しと、「パーム」は結構活躍してくれた。
そんな「パーム」だったが、仙台に来てからはめっきり活躍の場を失っていた、しかし出張となれば話は別である。


仙台〜東京間で2時間、東京〜大阪間で3時間とパイプを吸うのにはもってこいの時間である。
新幹線のシートにゆったりともたれ掛かりながら、何やら書き物をしている。
咥えたパイプからは、ユラユラと一本の細い煙が立ち昇り、その傍らには一杯のコーヒー。
そして時々手を止めては、窓の外を見るとは無しに眺め、口からはユラリと紫煙がこぼれる。
我ながら阿呆だとは思うが、これが至高のシュチュエーションであり、恍惚となるシルエットである。
従って、こんな事を想像しながら出張の準備をする訳であるので、おのずから力が入るのはパイプ選びである。
東京〜大阪間はたっぷり3時間あるので、是非とも大型のパイプ2本は必要である、仙台〜東京間に関しては、まあミディアムサイズ2本もあれば十分であろうか。
宿泊については三日間なので、取り回しの良さそうなパイプが最低でも4〜5本は必要になる。
当然4本入れのパイプバックでは間に合うはずもなく、夏場に向けて用意してあった簡易乾燥箱ごと持って行く事となった。
百円均一で購入した、プラスチック製の道具箱と乾燥シートの組み合わせ、これであれば梅雨のジメジメした季節であっても、美味しいタバコが楽しめる。
色々迷った挙句、大ぶりなパイプ3本を筆頭に、10本そこそこのパイプを持って行く事に決めた。
タバコは一番香りが目立たないであろうヴァージニアブレンドである。
いくら喫煙車両と言え、日本でパイプを咥えるのは中々勇気がいる、強めの着香タバコは目立ちすぎるし、ラタキアなんぞは言わずもがなである。

あれこれ悩んだ末、持って行ったのはアッシュトンのオールドロンドン。
ブレンドは、ヴァージニア・オリエント・ペリックであるが、あくまでもヴァージニア主体の味わいで、クセが少なくディリーな味わいである。
簡単に言うと、フル系のヴァージニアの香り味わいながら、軽めに仕上げられたタバコと、言った所ではないだろうか。
気軽に吸えて、長時間喫煙にも向いている、しかも煙立ちも少なめで、香りは目立たない。
公共の場で吸うには持って来いのタバコではあるが、一つだけ誤算があった。
それはオールドロンドンの形状である。
缶にはぺブルカットと表記があるが、中身は長いままのフレイク。
幅約4cm、長さ何と40cm超、タバコを詰めるのにやや難儀である。
そんな訳で、必要以上に膨らんだショルダーバックを抱えながらの関西出張となった訳だが、蓋を開けてみると、朝から晩まで仕事々々で、ビジネスホテルと出張先の事務所の往復となった次第であります。
しかしそこはパイプスモーカーである。
ホテルに戻って着替えをすませ、コーヒーを用意してパイプに火を入れる。
そして、おもむろに読みかけの短編小説に目をとおしたり、パームでパイプ物語の続きを書いたりするわけであるが、その私の回りには、常にパイプの煙がまとわりついている。
「お気に入りのパイプの煙」たったこれだけの事ではあるが、いったって開放的で、且つ充足した時間と空間が出現する。

この開放感と、ユッタリとした時間の流れはパイプスモーカーならではの特権ではないだろうか。
今回のスモークイン大阪に関しては仕事がメインであったので、大阪に行って仕事をした。
そして、職場へのお土産を買って帰った、とまあこの位しか、取り立てた話題も無かったのが実際であるが、しかし、行き帰りの旅程でのパイプ、滞在先でのパイプ、そして久しぶりのパームによるパイプ物語の執筆。
2年前の、「パイプ物語」連載開始当時を思い起こしながら、思ったよりも充実した出張となった。
色々な意味で敷居の高いパイプスモーキングであるが、ある程度慣れてしまえば、「たった1本のパイプで、お気に入りのシュチュエーションを演出できる物である」、こんな思いを再認識した大阪出張であった。


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