18-1 ブレークイン

2002年9月13日号


パイプ技術に関しての章も、はや五回目となる。
今までは、タバコをどの様に吸うかと言った説明に終始してきたが、ここからはパイプをどの様に扱うかと言う話題となる。

紙巻や葉巻であれば、タバコをどの様に扱うかだけで話は終わりとなるのだが、道具を使って喫煙するパイプスモーキングに関しては、パイプをどの様に扱うかも必要になってくる。
そこで、パイプ事始として、最初の儀式、ブレークインの話題となる。
通常ブレークインと言えば、チャンバーを焦がさない様にする為か、綺麗にカーボンを付ける為の前段処理とされる事が多い。
しかし、これが意外と人によって解釈が違う様である。
極端な話をすれば、「慣れてこればブレイクイン等必要がない」と言う人もいれば、「2ヶ月近くかけてジックリと、ブレイクインをする」と言う人もいるのである。
前者は、道具としてパイプを使う時の注意点としては正解であろうし、後者はパイプを育てると言った意味ではもっともな話であると考える。

 その昔、パイプスモカーの猛者達が集まっていたと言う、東京銀座「佐々木商店」の店主は、これからパイプをはじめたいという人には、スタンウェルのパイプが良いと言っていたそうであるが、その理由はチャンバー内に石綿と澱粉で作られたノリが塗られていて、初心者の苦しむブレイクインの手続きがはぶけるからであったそうである。
この事から考えると、パイプ喫煙に慣れない内は、勢いチャンバーを焦がしやすいので、チャンバー内に、ある程度カーボンが付くまでは、気をつけて喫煙する様にと言う事になるだろう。
そしてもう一つブレークインで良く言われている事であるが、「チャンバーの下部はカーボンが付きにくいので、最初はチャンバーの半分ほど迄、タバコを詰めて吸うようにし、チャンバー下部に、ある程度のカーボンが付いてから、初めて上までタバコを詰めて吸え」と言う事である。

これは、パイプ経験者ならだれでもわかる事であるが、パイプは火を付けて煙が安定するまでと、喫煙の終盤あたりが難しい。
それに比べて、喫煙の中盤、チャンバーで言えば煙が安定してから、上から三分のニから四分の三あたりまでが煙も安定していて、喫煙もしやすい。
そして、終盤の喫煙が難しいからと、タバコを吸いきらないで、ジュースでベチャベチャになったタバコを掻き出す様な喫煙を続けていると、チャンバーの中ほどあたりにカーボンが厚く付き、下部(煙道付近)にはほとんど付いていない、いわゆる蜜壷状態のパイプが出来あがる。
これを防ぐ為に、カーボンがある程度付く迄は、半分程タバコを詰めて吸う様にしろと言う忠告であるが、チャンバーを焦がさない様にブレイクインをすると言う忠告と、カーボンが蜜壷状態にならない様に喫煙すると言う忠 告は、基本的に同じものであると考えている。
 例えば、ブレークインが終わり、カーボンがある程度付いたからと言って気を緩め、バカバカ吹かしてボウルを熱くし過ぎれば、まずチャンバーを痛めるだろう。
しかも、その様な喫煙をすれば当然ジュースの発生も多くなる。
そして、ジュースの発生が多くなれば喫煙の終盤は、それに平行する様に難しくなり、タバコを吸いきれないままで灰を掻き出す事になる。
こうなると、チャンバーは再び、蜜壷状態へと移行を始める。
さらに、いくらパイプを上手に育てたからと言って、バカバカと強くタバコを吸えば、タバコ本来の味わいは崩れ、美味しく喫煙はできなくなるものである。
煎じ詰めれば、タバコ本来の味わいを十分に出せる様なスローバーニングによって、クール&ドライスモーキングを心がけ、一度火をつけたパイプは最後までキチンと吸いきる様に心がければ、特にブレークインを気にしなくとも、十分にパイプは育ってくれると言う事ではないだろうかと考える。
では肝心の、クール&ドライスモーキングの目安は何であるのかであるが、これは非常に月並みな答えで恐縮なのだが、基本的にはボウルが熱くなり過ぎない様に喫煙する事で、この為には上手にタバコを詰める事と、火が消える事を恐れずにユックリ吸う事の二点になる。

 しかし、これだけでは面白くないので、もう一つ私なりの目安を紹介しておこう。
それは、ブレークイン時は、着香タバコを吸うことを避け、無着香のヴァージニアブレンドを使うと言うものである。
以前に、パイプ喫煙ではパイプの素材の味が出てくると書いたが、ブレークイン時はそれが特に顕著に現れる。
ブレークイン時にタバコを強く吸い過ぎると、保護剤として塗られているカーボン臭や、素材のブライヤーの香りがタバコの味わいに混じって来るのである。
しかし、強い着香のタバコを吸っていると、この味わいの変化が分かりにくい、又は、パイプ素材の味わいの事にさえ気づかないまま、ブレークインをしてしまいやすい。
 そこで味わいの変化や、パイプ素材の味が一番分かりやすい、無着香のヴァージニアブレンドを、ブレークイン時に試してみると言う事である。
 簡単に言えば、ブレークインのコツは、パイプ(ボウルの熱さ)と煙(タバコの味わい)に相談しながら、ユッタリと喫煙するのが良いと言う事になるでしょうか。
 どうやらまた紙面が足りなくなって来たので、ブレークインのもう一つの解釈、「パイプを育てる」について簡単に触れて終わりと致しましょう。
 パイプを育てると言った観点から見ると、ブレークインはチャンバーに上手にカーボンを付ける事ともう一つ、パイプにタバコを馴染ませると言った事が含まれて来ると思います。
 これは、スムース仕上げのパイプを使ってブレークインをすると良く分かると思いますが、私の場合は最近購入した、ジョージジャンセンと、スタンウェルのフェザーウェイトがこれにあたります。
 上記の2品は、比較的明るい茶色のパイプであったが、まず吸い始めで、パイプに使われている染料が抜けて来ました。
 染料の抜けは、ジョージジャンセンの方が多く、みかんの皮をむいた時の様に手にほんのりと、黄色の染料付いた。
 そして、タバコの味わいはと言うと、ブレークイン時は、タバコの味わいにブライヤーの木質系の味わいが混じって来ます。
 ブレークインと言っても、チャンバー内だけとは限りません、煙はチャンバーから煙道を通ってくるのですから、そこでもブライヤーの香りが煙に混じって来ます。
 この異味の混入関しては、シャンク部の長いロバット型のスタンウェルの方が強かった様です。
 そして、何回か喫煙をしパイプの染料抜けが無くなって来ると、今度はタバコのヤニの染み出しによるものでしょうが、パイプに新たな色が付き始めます。
 それと同じにパイプにタバコの香りが付き始め、最初はほとんど無臭だったパイプが、ホンノリとタバコの香りがして来始めます。
 さらに、喫煙の回数を重ねて行くと、木目はより強くハッキリと浮き出て来て、パイプの色も落ち着いた茶色に近づくと共に、タバコのヤニによるものでしょうが、あたかもワックスを塗ったような、シットリとした光沢も出てきます。
 ここまで来れば、カーボンもシッカリ育っているし、パイプにタバコの香りがシッカリと染み付いているので、タバコも非常に美味しく感じられます。
文の冒頭に、「慣れてこればブレイクイン等必要がない」と言う人もいれば、「2ヶ月近くかけてジックリと、ブレイクインをする」と言う人もいると書きましたが、ブレークインを、タバコが美味しく吸える様になる迄の準備期間と考えれば、パイプにシットリとした光沢が出、シッカリとタバコの香りが染み付く迄をブレークインと考えても良いと思います。
これが、ブレークインの解釈の違いと言った部分になるかと思います。
さて、ブレークインについて長々と書いて来たわけですが、クール&ドライスモーキングにとって障害となり、パイプ喫煙での永遠の課題とも言える、ジュースの処理に関しては、次の章で触れる事にして、今回はこの辺で筆を置きたいと思います。

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